子供の頃から嫌なことがあるとすぐ逃げてしまうタイプで、案の定おとなになってからも何かと辞め癖・逃げ癖がついてしまって仕事がなかなか続かない……という人は多いと思います。
何しろ、私がまさにそれでした。
学生時代から、6つくらい経験したバイトの中で1年以上続いたのは1つだけ。他5個はどれも即日バックれ〜半年くらいで辞めたし(ちなみに多くは飲食店とレンタルビデオ屋)、新卒で社会人になってからも10年程度で3社を退職して最終的に現在は独立に至った。
自分の人生を振り返ってみると、やはり辞め癖・逃げ癖というのは子供の頃からの習慣で人格に染み付いてしまってきたものだと思っています。
私という人間に染み付いてしまっているから、治すのは容易ではない。でも、「自分は逃げ癖がある」と客観的に自己分析できている時点で改善の余地はあります。
本当にタチが悪いのは、自分の逃げ癖にはまったく目もくれず「他人が悪い」「社会が悪い」と愚痴っているタイプ。こういうのは救いようがないです。
しっかり自分の悪い癖に気づけているのであれば、あとは意識次第。私が対処してきた「逃げ癖・辞め癖の治し方」について書いていきます。
「逃げてもいいんだよ」と優しい言葉で逃げグセがついた人の人生は詰む
まず気をつけて欲しいことがあります。
karoushi(過労死)が英語辞書に載るほど労働環境に問題がある日本では、度々「逃げてもいいんだよ」「無理しなくていいんだよ」的なメッセージが世を照らしています。弱っている人からすれば光の射すきれいな言葉です。
「逃げてもいい」というのは私も間違っていないとは思っているし、メッセージを「発信」している方だって悪意はなく、自分を追い込んでしまう人を救ってあげたいと思って発しているのでしょう。
ただ、こうした「優しい言葉」を鵜呑みにし続けると、確実に人生詰みます。
「逃げていい」と背中を押されて、あなたは逃げたとしましょう。
で、そのあとは?
「逃げていいんだよ」と言ってくれる人たちは、逃げた後の責任を取ってくれるわけではないです。逃げたあとの世話までしてくれません。
人間というのは自分に都合のいい綺麗な言葉に心動かされるもので、優しい言葉や名言系にめっぽう弱い。「逃げていいんだよ」と言われると、まるで「戦わずして逃げること」が全肯定されたと錯覚します。
とくに名言集とかが好きで、名言をみてはコロコロと気の持ちようが変わってしまうタイプの人は要注意。私の観測範囲では女性の方に多い傾向です。
「逃げていいんだ」と言う方は”タダ”です。言う方は責任もクソもない。むしろ弱者側から「ありがとうございます!逃げる勇気が出ました!」なんて感謝されたら良い気分になったりします。
一方で「逃げる方」は多大なリスクを負うことになる。なぜなら、日本の雇用制度は逃げる者に厳しい仕組みになっているから。
逃げていいのは「戦った」人間だけ
「逃げもいい」「無理しなくてもいい」というのは、基本的に十分に戦ってきた人間に対してかけられるものです。
「もうあなたは十分頑張った。”これ以上は”もう無理しなくていいんだよ」と。
しかし逃げ癖や辞め癖のある人の大半は、面倒ごとと戦うのを避けるために逃げたがる人たち。こういう人たちに逃げ癖がつくと、人生の中で「戦う」ことを避け続けるようになります。
あらゆる現場や人間関係から逃げ続けた人の行き着く先は…孤独と貧困です。
つまり、人生が詰みます。
その具体的な詰みルートを見てみましょう。
逃げ癖・辞め癖は転職をどんどん不利にして、最終的にフリーターやニートになる末路も・・・
短期間で仕事を変えまくっている人を転職市場では「ジョブホッパー」と言います。このジョブホッパーは転職時には嫌われやすい傾向があります。
私もリーマン時代に人事で採用していた経験があるので、この辺はよく分かります。
明確なキャリア目的があって、キャリアアップの転職を繰り返してきたタイプのジョブホッパーなら歓迎されます。そう言う人は転職歴にもストーリーがあり一貫性があるので、キャリアのステップを踏んできていることが分かります。
しかし、単純に仕事が続かなくてジョブホッパーになっているタイプの人は嫌われます。この手の人は職歴にも一貫性がなくストーリーも語れないので逃げ癖があるタイプだと一発で分かります。
「今までの仕事は全て3年持たずに辞めてきました」なんて人を採用したい会社があるでしょうか? どうせ採用しても3年以内にまた辞めていく。だったら採用して教育するコストが無駄にしかなりません。
目的がない短期転職は、転職市場では不利になりやすいです。明確な基準があるわけではないですが、「3年以内の離職を2回以上繰り返し」しているとジョブホッパーとみなされる可能性があります。
参考短期離職2回繰り返すとアウト?転職回数が多いと面接に不利な理由
つまり、逃げ癖のせいで仕事を転々としていると、その先のキャリアはどんどん先細って下り坂になるというリスクが事実としてあることを忘れてはいけません。
辞め癖がついたせいで会社を転々とし、30代になってついに正社員にすら採用されなくなり、とうとうフリーターになってバイト生活……そんなバイトも続かずにやがて日雇いを転々とするように……
そして、最後はニートへ……
なんて末路になっている人が本当ごろごろいるんです。
フリーターの人生がどのようにして地獄になるかは、下記の記事で詳しく書いています。
とはいえ、おそらくこれを読んでいるあなたは、この記事を読んでいる時点で「逃げてもいいんだ」ではなく「逃げ癖はダメだ。どうにか治さなきゃ……!」と前向きに考えている人だと思います。
なので、どうにか逃げ癖・辞め癖を治す方法を私なりのやり方で紹介します。
仕事の辞め癖・逃げ癖を治すためのタイプ別の対策
まず仕事を辞めてしまう理由を冷静に分析してみる
まず、今まで辞めてきた仕事について「何が原因で逃げたくなったのか?」を冷静に思い返してみてください。
例えば……大体以下のような原因が多いのではないでしょうか?
- 人間関係・メンタルの問題(嫌いなタイプの人がいた。対人恐怖症で仲良くなるに至らない。いじめられた。etc……)
- 仕事内容がイヤ(単純作業すぎる。肉体労働すぎる。やりがいがない。etc……)
- 職場の雰囲気がイヤ(体育会系すぎる。会話が少ない。年上しかいない。女子(男子)がいなすぎ。etc……)
- 待遇がブラックでイヤ(給料が少なすぎる。休みが少なすぎる。etc……)
それぞれの原因別に私なりの逃げ癖の対処法を書いていきます。
【1】人間関係がうまくいかない・コミュニケーションが苦手な人は「待ちの姿勢」を矯正しよう
一番多いケースが「人間関係・メンタルの問題」ですね。
まず、職場に頭のおかしい人間がいて嫌がらせやパワハラが酷い場合、私なら秒で辞めます。このケースは仕方ありません。
こういう頭のおかしい人というのは世の中に一定数いて、こういう人と出会ってしまうのは交通事故に遭うのと一緒で「運が悪かった」としか言いようがありません。
転職に不利になろうがなんだろうが知ったことありません。体と心を壊せば命に関わります。命より優先されるべきものはありません。秒で辞めましょう。
……でも。
そもそも逃げ癖で悩んでいるあなたは、「自分に問題がある」ことに感づいている人ですよね?
昔からバイトや習い事が続かなかった。ちょっとでもイヤなことがあるとすぐ逃げ出した。思い当たりませんか?
私は死ぬほど思い当たります(苦笑)。
ちょっとでも怒られると「嫌われたんじゃないか……」と必要以上に不安になったり、「陰口言われてるんじゃないか……」と不必要に勘ぐったり。
ちょっとでもお客さんとトラブルと「もうこの仕事やってけないんじゃないか……」と極度に怯えたり。
対人恐怖症とまではいかないものの、私もめちゃくちゃ人見知りです。子供のころから新しい習い事とか塾とかバイトとかの初日が死ぬほど緊張して憂鬱だったタイプなので、その気持ちは痛いほど分かるんですよね(イヤすぎてバックれたことも多数)。
で、こういう問題って100%「精神的な問題」なので、治し方も理屈抜きに”気合いと勇気”で乗り越えるしかないんですよ。他人がどうこうできる問題じゃなく、自分で自分を変えるしかありません。
じゃあコミュ障の私がどうやって職場のコミュニケーションを乗り越えてきたかというと、「無理やり自分から話しかけにいく」という根性戦法です。自分の中で「突撃する」と言っています。
人間関係がうまく築けないタイプの人って「待ちの姿勢」の人なんですよね。基本的に自分からはいかない。ずっと待ってる。話しかけられるのを待ってる。話題を振ってもらうのを待ってる。怒られるのを待ってる。
私は自分が受け身の性格だと自覚しているので、職場に馴染むまでは意識的に「無理やり」「勇気を出して」自分からコミュニケーションをとるようにしていました。
バンジージャンプするくらいの勇気で自分から積極的に会話を切り出したり、トラブったときも自分から先に謝罪したり……などなど、勇気を出して自分から「突撃」すること徹底しました。
そんな突撃をしたことで分かるのは、「案外みんな普通に良い人」だということです。
よく考えてみてください。新人に初対面でキツくあたる正真正銘の性悪野郎なんて世の中の人口比で言ったら超少ないわけですよ。大多数の人の性格は「普通」です。性悪な人なんて10%もいない。
なのになぜ、周囲が自分とうまくいかないように見えるかというと、結局はまだ「壁」があるだけなんですよね。その人が性格的に冷たいわけじゃなくて、まだ壁を置いて一線を引いているわけです。
で、その壁はこちらから「突撃」することで結構簡単に壊れるんです。壁さえ壊れてしまえば、「あれ? 思ってたよりこの人普通じゃん。全然話せるじゃん」となることがほとんどでした。
以上をまとめると、
人見知りや対人恐怖症で、なかなか新しい職場で馴染めない……という人のタイプは、気合いと勇気によって「自分から無理やりにでもコミュニケーションをとる。待たない!自分から突撃する!」という強行作戦が一番効果的です。
20年30年甘やかしてきた自分の性格を変えるには、相応の荒治療しかありません。崖から飛び降りるくらいインパクトで「矯正」する必要があります。
でも、ひとたび人間関係の悩みさえ解消されれば、仕事はいとも簡単に長続きするようになるものですよ。むしろ「この職場が好きだ!ずっとこのメンバーで働いていたい!」と思えるほどに。
【2】仕事がつまらない・やる気が持てない無気力系の人は「好きなこと」ではなく「得意なこと」を仕事にしよう
- 仕事が単純作業でつまらない
- 俺がやりたい仕事はコレじゃない感
- やりがいのある仕事がしたい(けど、やりたい仕事は特にない)
こんな漠然とした悩みに捕らわれてアレでもないコレも違うと仕事を転々とするタイプの人、めちゃくちゃ増えています。現代は仕事を選べる自由も増えたので、逆に自由すぎて何を仕事にすればいいのか、自分がしたい仕事が分からない……みたいな。
こういう人には私はいつも決まったアドバイスをしていて、
「好きなこと」ではなく「得意なこと」を仕事にしろ。
と言っています。どういうことか?
「スポーツ選手には遅生まれが多い(早生まれが少ない)」という話があります。その理屈はこうです。
小学校低学年という成長期において、早生まれ(1月〜3月生まれ)と遅生まれ(4月〜5月)の子では同学年にも関わらず体格や体力に約1年分の大きな差がでる。
必然的にスポーツやかけっこなどの競争では体格が1年分成長している遅生まれの子が勝ちやすくなる(実質2年生と3年生が勝負しているようなもの)。
すると遅生まれの子には自然と「自分は周囲より優れている」という自信と満足感、つまり成功体験が蓄積されていき、次第に”人より勝てるスポーツ”にのめり込みやすくなる。
一方で早生まれの子は幼少〜少年期に「勝つ」という経験を得にくいため、勝てない経験の蓄積によって「運動は苦手」という自己認識を持つようになり、真剣にスポーツにのめり込む確率が減る。
アスリートの源泉には、幼少期の「他人より勝てた」という成功体験が最初にある。
ここで重要なのは、幼少期の子供はやりがいのあるスポーツにハマったのではなく、何となくしていた競争で他人に勝ちやすかったという事実(成功体験)が先にあり、”人に勝てる”、”周囲より優れている”という分野に対して後からやりがいや充足感を感じるようになったということです。
つまり何が言いたいかというと、「好きなこと」ではなく、まず「得意な仕事」を始めてみよう。そうすれば、やりがいは後から感じるようになるはずだということです。
得意なことからやりがいが生まれる
- 「好きなこと」ではなく「得意なこと」を始めた
↓ - 周囲より優れた結果が出せるので「勝つ」という成功体験が得られる
↓ - 勝てる喜び、優越感、周囲からの評価を浴びて満足感が得られる
↓ - やがてそれを得ることが「やりがい」や「充足感」に変わり、もっと得るためにどんどんハマり始める。
ここ問題なのは、自分の得意なことが何か分からないということです。
自分にどんな才能がり、どんな資質に優れているのか、自分自身の能力のパラメータを知らない人が圧倒的に多いです。
自分の潜在能力のパラメータを知るには、才能診断を一度は受けてみることです。
就活のときの自己分析で簡単な診断を受けた人は多いかもしれませんが、できれば30分〜1時間かけて受ける本格的な診断を受けた方がいいです。
無料で誰でも受けられる才能診断の中では、リクルートが提供する「 リクナビNEXTのグッドポイント診断 」が一番本格的でしょう。30〜40分程度かけて300近い質問に答えていく重厚なテストです。
300問近い質問に全て答えると、自分が最も突出しているグッドポイント(強み・資質)を5つ算出してくれます。これを参考に自分の得意な分野を探しましょう。
コミュニケーション能力に優れていれば営業が向いているし、独創性の資質が強ければ企画の方が向いているかもしれない。戦略性が強ければコンサルティングの仕事が最適かもしれません。
下手に「好きなこと・やりたいこと」とか考えずに、まずは自分の一番尖っている資質が活かせる仕事についてみることです。それが最も「仕事ができる」という満足感を得やすく、そしてそれが自信や満足感につながり仕事を長続きさせるはずです。
「職場の雰囲気・待遇」が思ってたのと違う……という人は事前のリサーチを徹底しよう
「職場の雰囲気」「給料や労働時間などの待遇」が(思ってたのと違う……)というケースが多い人は、単純に事前のリサーチが足りてないことが多いです。
私もテキトーに転職して盛大に失敗したことがあるので、その後は相手企業について徹底的に下調べしてから入社を決めるようにしました。
重要なのは、
- 転職エージェントを必ず利用する
- 企業のネット評判、SNS検索、社員のSNSアカ調査・ブログ調査
この2点を徹底することですね。
転職する際は、必ず転職エージェントを使って相手企業をよく知ること。
エージェント担当者に相手企業の給料モデル、待遇、社風など根掘り葉堀り聞きだします。その上で採用の際には給料交渉もしてもらうことも忘れないように。
これだけで、入社後に待遇面で「こんなはずじゃなかった」となる可能性は格段に低くなります。
転職エージェントとは?
求人サイトと違い、担当の転職コンサルタントがついて転職のバックアップをしてくれるサービスです。転職者は無料で利用できるので、利用しない理由がありません。必ず利用しましょう。
この3社に登録しておけば日系企業の求人はほぼカバーできるでしょう。
フリーターからの正社員転職の場合は、フリーター就職専門のエージェント「 ハタラクティブ 」を使いましょう。
私の場合は転職エージェントの評価だけでなく、さらに独自で徹底調査します。
必ずやるのはこのあたり↓
- 会社のネットの評判をリサーチ(SNS・2ちゃん・掲示板含む)
- 社員のSNSを検索(企業名をプロフィールに載せているとヒットする)
- SNSで見つけた社員のブログまでチェック(最近はブログ持っている人多い)
グーグル検索や2ちゃんねるなど掲示板は当たり前ですが、とくにSNSリサーチはかなり役立ちます。
それなりに名の知れた企業だと、企業名で検索すれば社員のSNSアカ(プライベートアカだと望ましい)が1人2人は見つかります。そうした人のツイートを読めば、仕事に対する不平不満や、逆に仕事に自信を持っていたり楽しそうだったりという印象が結構分かります。
また、企業名で検索すれば、その企業に関する評判や口コミツイートも見つかります。「知人がその会社で働いていますが、クッソ体育会系でノルマキツいらしいです……」みたいなツイートを見つけたりすると危険信号が立ったりしますね。
社員のSNSアカウントを見つけたら、ツイートを観察するだけでなく、ブログをやっていればブログもくまなくチェックします。会社員ならばブログには十中八九「仕事」に関する記事があるので、全部読みましょう。そこから会社の雰囲気や社員の士気など掴めるものがあります。
ここまで徹底して調べておけば、入社前の想像と入社後の現実のギャップ(とくに給料や残業など待遇面)はかなり埋めることができます。
【最後に】退路(逃げ道)をなくせば人は変わる
ここまで細かい対策をいろいろ書いてきましたが、結局逃げ癖や辞め癖が直せない人に一番足りないのは「危機感」だったりします。なので極論を言ってしまうと、自ら退路を絶っていやでも逃げられないようにするのが一番効果的だったり……。
例えば、私の既婚の友人たちを見ていても、結婚して子供ができると仕事に対する姿勢や考え方がガラッと変わる人が多いです。
独身のときは「やりがい」とか「夢」みたいなフワフワした感情に流されやすかったのに、家庭を持つと「妻やこどもを養っていく」という覚悟ができて、仕事は「家族を支えていくもの」という強固で頑丈な価値観に変わっていくようです(実際に聞いた話)。
(※友人語録)
逃げ癖や辞め癖はメンタルの問題ですが、こういう人間の中身を変えるのには「環境から追い込む」のが一番効果的なんですよね。