現在フリーターの人は、この記事を読みながら自分の老後までの一生のことをリアルに考えてみて欲しい。読み終えたころには、いかにフリーターの将来が厳しいかがわかるはずだ。
結婚やマイホーム、その他暮らしの贅沢を除外すれば、フリーターの収入でも物理的に生活していけないことはない。毎月1万円を切り詰めながら細く生きていくことはできる。
問題は、老後を迎えてからだ。
高齢になるほど受け入れてもらえるバイトは肉体労働系だけになり、長く酷使した身体がガタを起こすようになる。バイト代が途絶えれば最後の頼みの綱は年金になるわけだが、フリーターが受け取る国民年金はとてもじゃないが生活していける額ではない。
さらに最悪なことに、結婚していない独り身の高齢者は賃貸の家を借りられなくなる。
結局最後に待っているのは、老後破産、そして生活保護だ。
今フリーターの人は、こんな将来に向かって今日も一歩ずつ歩いている。
「一生フリーターで生きていけるのか?」と聞かれれば、現実はかなり厳しいと言わざるを得ない。その現実をよりリアルに想像するために、この記事では具体的な数字を上げながらフリーターの一生をシミュレーションしてみたい。
※なお、フリーターとして生きていけるかは親の援助や実家の有無などで大きく変わるが、この記事では独身一人暮らしを想定して書いていく。
アルバイト(フリーター)と正社員の生涯賃金は3倍の差
まずは最も重要な生涯賃金を比較してみよう。
言うまでもないが「生涯通して稼ぐ金額」だ。正社員とフリーターで、生涯賃金はおおよそ下記のようになる。
生涯賃金の差
- 正社員(全体):約2億円弱
- 大卒正社員:約2億5000万
- 社員1000人以上の大企業正社員:約3億円強
- フリーター:約6000〜8000万円
※いずれもあくまで平均値。
ご覧の通り、正社員とフリーターではもはや桁が違う。フリーターと正社員では約3倍、人生3回分の収入の差があるのだ。
さらにこの数字に加えて、正社員には毎月の住宅手当や家族手当、通勤手当など各種様々な手当を始め、退職金などの手厚い制度もある。しかしフリーターには基本的にそのどれもがない。手当まで含めると見た目の金額以上の差が出るだろう。
シンプルに、人生で手にできるお金の量において、正社員とフリーターでは絶望的な差があることが分かったと思う。
あらゆる贅沢を諦めれば、フリーターでも身体が動くうちはバイトで月15万程度稼ぎ続けて食っていくことはできるだろう。繰り返すが、問題は40代〜50代〜60代になってバイトで月15万稼ぐのが無理ゲーになってきた後である。
一般的に老後にかかるコストについて考えてみると、フリーターの生涯収入では老後を生きるのはかなり厳しい現実が分かる。
老後の生活に必要なお金ってどのくらい?(老後貯金)
さて、老後の人生にはどれだけ金がかかるのか?
平均寿命が延びて、今や「人生100年時代」と言わ始めている。老後にかかるお金はどんどん増えていくわけだが、ここでは現状の一般的なモデルケースで考えてみよう。
一般的な老後貯金のモデルケース
一般論では、
- 老後生活に必要なお金は約7000〜8000万
- うち、老後までの貯金として3000万円
という数字がよく言われている。一般的な夫婦をモデルケースにして老後25年〜30年を生きる場合だ。
老後に必要な金額8000万円
=年金5000万+貯蓄3000万
あくまでざっくりとした計算だ。
老後に必要な8000万という数字は、夫婦二人で月20〜25万支出(年間240万〜300万)の生活を続け、介護費用(500万と仮定)や時々の交際費を加味したケースの目安である。
これは”特別な病気などをせず”に健康体で平均的な生活を想定したモデルケースであり、老後に趣味や旅行など余裕のある暮らしをしたいならもっと多額が必要になる。
生涯フリーターだった場合の老後貯金を考える
さて、フリーターとして生涯生き続けた場合を考えてみよう。
フリーターは結婚が厳しい(特に男性)ので、やはり独り身が多い。独身一人暮らしとなると、住む場所にもよるが最低限人並みな暮らしをするのに月15万は欲しいだろう。年間180万を最低必要金額とする。
介護や病気などの事情は一切無視したとしても、老後25年生きるとして4500万の生活費が必要だ。
60代を超えてアルバイトで月15万を稼ぐのは到底厳しいので、やはり年金に頼るしかない。しかしフリーターが受け取れる国民年金の平均月額支給額は約5万円程度しかない。
年金支給額の目安
- 厚生年金組(会社員や公務員):毎月15万円程度
- 国民年金組(フリーターや自営業):毎月5万円程度
※実際はこの年金にも税金がかかるので、手取りはさらに減る。
月15万で暮らすので、年金で5万入っても毎月10万円が不足する。年間だと120万の不足。老後25年計算だと約3000万が不足する。
国民年金を受け取ってもなお、老後を生きるのに3000万の現金が必要になるのだ。
老後までにバイトで3000万貯金するか?
または、60歳を超えてから死ぬまでバイトで3000万(月10万/25年)を稼ぐか?
なるほど、絶望的である。
ここまでまとめ
- 年180万円で85歳まで生きるとして4500万円が必要
- 国民年金が毎月5万支給とすると、不足分の現金3000万円が必要になる
- 60歳までに3000万貯金するか? 60歳〜85歳まで毎月10万バイトするか?
※金額はおおよその目安です
生涯アルバイト・フリーターの生きていくと、老後破産か生活保護になるリスク
フリーター世代が老後に入り、高齢者の貧困は社会問題に
独身でフリーターを続けた先、老後の余生は質素に月15万で細く暮らしていくとしても、国民年金は平均5万程度しか受給できないのでとてもじゃないが金が足りなくなる。
月5万しか収入がなければ家を借りて暮らすこともできず、ホームレスになる可能性も高い。
バイト代で多少補おうとしても、還暦を超えた身体じゃできる仕事も限られてくるし、年齢が年齢なので採用してもらえるバイトも激減する。うまくして時給800円のバイトにつけたとしても、月10万円の不足分を補うには1日7時間労働で1ヶ月18日間勤務を”死ぬまで”続ける必要がある。とてもじゃないが現実的ではない。
そうして生活していけないとなると、行き着く先は「老後破産」「生活保護」といった道しかない。
生涯フリーター・一生非正規の人生の老後地獄が社会に顕在化するのはこれからだ。
生活保護以下。お金のない高齢者の生活はツラく厳しい……
以前にNHKスペシャルで「老後破産の現実」が放送されていたが、独身高齢者の貧困は言いようのない悲惨さに包まれていた。申し訳ないが、正直「あーなりたくない」という気持ちでいっぱいだった。
おじいさんおばあさんになって、1日300円で暮らす生活を想像できるだろうか?
(年金収入の月6万円で暮らす高齢女性)
小さなワンルームに一人で住み、電気代がかかるからエアコンもつけられない。テレビもなく、唯一の楽しみはラジオだけ。1個100円のレトルトハンバーグを2食に分けて食べる……。
見てるだけで胸の奥が苦しくなる。
現在、独り暮らしの高齢者は全国600万人に及び、その半数300万人が生活保護水準以下の年金収入しかないそうだ。しかし、そのうち実際に生活保護を受けている人は70万人程度に留まるという。
生活保護を受けられる条件もかなり厳しく、保護されるのはごく一部の人だけ。上の高齢女性は年金収入が月6万円しかなくても生活保護が通らないと嘆く。
持ち家がなければ地獄。独り身の高齢者は賃貸の家を借りられない
生活保護は恥ずかしいから、細々とバイトで食いつないでいく孤独老人も多い。しかし現実問題として、まともな収入もない孤独な高齢者は家が借りられなくなる。
高齢者が家を借りられない理由は、大家側が嫌がるからだ。
収入の問題よりも、孤独死のリスクを大家は嫌がる。万が一、貸した物件の中で高齢者に孤独死されると大切な物件が事故物件になってしまう。さらに腐食した遺体の処理に多額の清掃費がかかる場合もある。
そうしたリスクを考える大家からしたら、わざわざ高齢者に家を貸そうとは思わない。よって高齢と言うだけで審査段階で拒否してしまうのだ。
つまり、持ち家のない高齢フリーターは家を借りられず、行き着く先はホームレスしかない。
内閣府の「高齢社会白書」によれば、65歳以上の単身者の3人に1人はマイホームを持っていない。人生をずっとフリーターや非正規として生きてきた人間なら家を買うなんて到底無理なので当たり前だろう。
親から持ち家を相続できるような非正規・フリーターならまだいいが、そうでない場合、60歳に差し掛かるにつれてアパートすら借りられなくなる可能性が出てくる。
他人事ではなく、一生フリーターで生きていくのであれば、こんな苦しい未来が待っている可能性が高いのだ。
つまり冒頭でも言った通り、「一生フリーターで生きていけるのか?」と聞かれれば、現実はかなり厳しいと言わざるを得ないのだ。
フリーターから抜け出すなら1年でも若いうちに
最後に、ネットで有名な2ちゃんねるのコピペを貼っておこう。ネタのコピペだが、フリーター人生の怖さを想像させる名作である。
☆20代前半
Fラン大学卒業間近、まわりは正社員に就職出来た方が少なく、フリーターが多数というに環境に安心する
「不景気だから」「就職難だから」「これが普通だから」と自分に言い聞かせ納得する
フリーターもしくは派遣社員としてのスタートを「新社会人デビュー」「フレッシャーズ」と言い張る
零細企業で働いている高校時代の友人より収入が多く、少し天狗になる
就職先を聞かれると迷わずバイト先の親会社の企業名を答える
☆20代後半
正社員雇用に関心を持ち始めるが、転職活動など具体的な事は何もしない
月収はそこまで差はないが、友人たちのボーナスの話がとても気になる
「まだ20代だから」「男は30代が勝負」とまだ余裕があるように自己暗示をかけ続ける
クルマなどの大きな買い物をするとき、ローンが通りにくいと気付く
☆30代
バイト先が20代が多くなってきて居づらくなってくる
バイトから正社員登用を密かに期待していたのに、店長から「そろそろどこかに就職しないの?」と言われショックを受け退職する
重い腰をあげて正社員を目指して就職活動するが、「10年間職歴無し」とみなされどこも受からない
友人たちは次々と役職に付き、結婚したりマンション買ったりしはじめる。が、式や新居に招待されることは無い
30代にして年収で友人たちと150万近くの差がつき、人生に不安を感じる
☆40代
転職、結婚、安定した将来、すべてが幻となった事にはっきり気付く
同じフリーター生活だった大学時代の友人たちが就職したり家業を継いだりという話を聞き、羨望と嫉妬と筋違いの怨恨の感情が芽生える
仕事の選択肢は夜勤と重労働ばかりの日雇い派遣労働しか残されておらず、それすら体力のある20代・30代に横取りされる
☆50代
もはや、人生のすべてを諦めた。日々を生きてゆくことが精一杯である
友人たちは子供が成人して一安心。老後の事が真剣に不安になってきた
高齢の為、派遣屋から仕事が来なくなってきた。やむなく遠方まで行く
☆60代
いざ路上へ・・・さらば人生
「30歳フリーターの悲惨な末路」という記事でも書いたが、フリーター人生というのは30歳にエベレスト級の大きな壁がある。フリーターのまま30歳を超えてしまうと、その先の人生で再起をはかるハードルは格段に上がるからだ。
そして大抵、フリーターや非正規のままズルズルと40代になり、50代になり、老後貧困へと向かう。
こうした将来の不安を取り除きたいのであれば、人生のなるべく早いうちにフリーターを脱出しておくに越したことはない。
まだ20代フリーターであれば、正社員の道は腐るほどある。正社員になれないと思っている人はアプローチ(就活方法)を知らない・間違っているだけだ。20代フリーター専門の就職支援エージェントがあるので、まずは相談に行くこと。
最大手の「 ハタラクティブ 」なんかは利用者の半数以上が”社会人経験なし”のフリーターだが、1000件以上の求人を誇り、就職内定率は80%を超えている。
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こうした20代フリーターに特化した就職支援サービスがあるという時点で、20代のフリーターであればいくらでも正社員就職の道がある証拠だ。
逆に、フリーター専門の転職エージェントの多くは29歳以下限定である。つまりそれは、30歳以上のフリーターの正社員就職を支援するのは難しいということを物語っているわけだ。
もちろん、30代以上のフリーターでも諦めるべきではない。せめて リクナビNEXT くらいは最低限登録して就職口を探しておくべきだろう。多くは書類すら通らない厳しい現実に向き合うだろうが、それでも諦めずに動かなければ人生は変わらない。
人生80年生きたいなら、一生フリーターで生きていくのははっきり言って無謀だ。
若い頃は金がなくても自由を謳歌できれば満たされていたかもしれないが、年を重ねて老後になれば自由もクソもなくなる。体力もなくなり、気力も弱り、金もない。そんな老後の生活はとても苦しいし切ない。
「今を最大限自由に生きる」のがフリーターの醍醐味だとしても、一度立ち止まって、自分の将来のことも考えてみてほしい。
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