大学を卒業したものの、正社員としては就職せずにフリーターや非正規社員になる人は一定数必ずいます。
大卒全体を見ると2008年のリーマンショックから大卒者の就職率はどんどん回復しており、2016年(平成28年)3月に大学を卒業した人の就職率は97.3%なんて数字もニュースで取り沙汰されました。
しかしこの「97.3%」という数字は、”就職活動をしていた学生”のうち”無事に就職できた人”の割合であり、実態を表す数字としては正しくありません(例えば進学した人などが含まれていない)。
全ての大学卒業者に対して、「正規社員」に就職した人の実際に割合は「71.3%」という数字が出ています。内訳は下記の通り。
2016年に大学卒業した学生(55万9千人)の就職率内訳
- 正規社員:71.3%(39万人)
- フルタイムの契約・非正規社員:3.4%(約2万人)
- パート・アルバイト:1.8%(約1万人)
(参照:日本経済新聞)
パートアルバイトは全体の約2%。つまり50人に1人程度は大学卒業後にフリーターになっているのが現状と言えそうです。
この数字が多いのか少ないのかを問うつもりはありません。この記事では、「50人に1人の既卒フリーターになってしまったけど、そんな現状を脱してなんとか就職したい!」という既卒フリーターが、正社員に就職する方法を考えていきたいと思います。
先に結論を言っておくと、まだ20代であれば既卒フリーターでも正社員に就職することは十分すぎるほど可能です。しかし当然ながら、新卒キップを持っていた時ほど贅沢は言えません。
とはいえ、そう悲観することはありません。
ひとさじの勇気と行動力さえあれば、自分の人生なんて今からでもどうとでも動かせます。
既卒フリーターの実態と属性割合
まず、フリーターの実態について理解しておく必要があります。フリーターと一口にまとめても事情は様々あるわけなので、まずはフリーターの中で属性を分類してみましょう。
フリーターの3タイプの属性
フリーターの属性については、アルバイト求人情報サービスの「an」の「最新フリーター事情」という調査が興味深い。フリーターは大別すると下記3種類の属性に分かれると言います。
- モラトリアム型(46.2%)
⇒将来の展望がなく漠然とフリーターをしているタイプ - 夢追求型(9.9%)
⇒芸能・芸術・職人などプロフェッショナルを目指しているタイプ。 - やむを得ず型(41.5%)
⇒本人や家庭の事情、その他トラブルによりやむをえず
夢追い人は減少し、漠然とフリーターを続ける「モラトリアム型」が増加傾向
ちなみに2000年の同様のアンケート(「フリーターの意識と実態」)では、
- 「モラトリアム型」39.2%
- 「夢追求型」27.8%
- 「やむを得ず型」33%
という結果でした。
フリーターの総数は2000年あたりから約180万〜200万人で変わっていません。つまり時代の流れを見ると、夢を追うフリーターは急激に減り、漠然とフリーターを続けてしまっている「モラトリアム型」のフリーターが増加傾向にあることがわかります。
フリーターの約半数がモラトリアム型です。おそらくこの記事を読んでいる人も、多くはモラトリアム型のフリーターでしょう。概ねこんな感じではないでしょうか↓↓
将来の漠然とした不安はあるけど、かと言ってどうすればいいのかも分からない。今のバイトで最低限は食っていけるから差し迫った危機感もなく、ぬるま湯に慣れすぎて今さら正社員として社会で働くのもイメージできないし、なんだか怖い。
40代や50代になってもフリーターをしているとは思っていない。結婚もできずに独身フリーターで人生を終えるなんてまっぴらゴメンとは思っている。
そのうち何か、自分にも何か、人生の転機がきっと訪れてくるだろう。なんて、期待はしているけど、今のところ全く何もない。
将来の展望も、淡い期待も、不安と恐怖も、全てが漠然としていてモヤモヤしている。
どうにかしたいとは思っているけど、どうすればいいのか分からない。だから今日もいつも通りバイトに行く。ただそれだけの毎日が、もうずっと続いている……。
前置きが長くなりましたが、下記ではまさにこのようなモラトリアム型のフリーターが現状を脱して正社員に就職する方法を3つ挙げていきます。「どうすればいいか分からない」という人に、「どうすればいいか」を書いていきます。
「今まで通り」を変えられない人間は、その後もずっと「今まで通り」が続くだけです。外から「転機」がやってくるなんて淡い期待を持ち続けるのはもう辞めましょう。あなたの人生を変えられるのは、あなただけです。
まだ20代であれば全く遅くありません。フリーター人生を変えたいなら、1年でも1日でも早いうちに動き出しましょう。
既卒フリーターが正社員就職する方法3つ
1. バイト先で、アルバイトから正社員になる
まず一つ目は、今のバイト先で社員登用してもらう方法です。バイトとして会社(お店)の利益に貢献していれば、自ら志願したり社員からお誘いを受けることで正社員になるのはよくある話です。
基準として、企業はアルバイトであっても「正社員の3/4以上の勤務時間、勤務日数を働いている人」は社会保険に加入させなければならないと決められているため、この社会保険への加入が必須になるほど働いていると社員登用が現実味を帯びてきます。
もちろんそれ以外にも、直属の上司(社員)に気に入られることで社員登用の話をつけもらうことも可能でしょう。
ただ正直、この方法はあまりおすすめしません。
なぜなら、本当に社員登用してくれる保証なんてどこにもないからです。
「頑張って働けば社員登用してくれるって言われたからバイト一筋で頑張ってるけど、一向に具体的な話がされないまま何年も経ってる……」
こんなフリーターが全国に腐るほどいます。それで「あの……いつになったら社員になれるのでしょうか?」と期待して聞いてみると、「あれ、あーそんな話したっけ?(笑)」なんて返されるのがオチだったりします。
「社員登用を信じて頑張ってきた時間はなんだったんだ!」
と後悔してももう遅い。口約束なんて「約束してない」と同義です。優秀なバイトリーダーを辞めさせないためにワザと「このまま頑張ればそのうち社員に……」とエサを与えて引き留める人だっています。
私の友人にも社員登用を目指して飲食店でずっとバイトしていた人がいますが、社員登用の話を持ちかけてくれた店長が退職してしまったことでハイ終了となりました。
他にも、店長から社員登用を推薦してもらったものの、いざ本部の面接に行ったら落とされたなんて人もいます(全国規模の某外食チェーン)。
社員登用のシステムは会社によって異なりますが、身近な上司(社員)からの社員登用のお誘いは、それが”口約束である以上”は安易に期待したり信じてはいけません。
上司のその場のノリで出た発言かもしれませんし、そもそも上司だって詳しい社員登用のルールや規則を知らずにテキトーに言ってみただけかもしれません。そんな信憑性のない発言に人生の貴重な時間を賭けるのはあまりにもったいないです。
2. 就職支援サービスを使って就職する
最もおすすめかつ現実的な方法が「就職支援サービスを利用する」ことです。要するにフリーター就職のプロの協力を仰ぐことです。
20代フリーターや20代既卒人材を専門に扱う転職支援サービス(転職エージェント)は多々あり、それこそが20代フリーターなら正社員の道がいくらでもあることを物語っています。
※ただしほとんどが20代専門であり、30代を超えたフリーターはかなり門が狭くなる。
公式HP ハタラクティブ
例えば上記は20代フリーター向け就職支援サービスの最大手「 ハタラクティブ 」ですが、利用者のほとんどが20代かつ、半数以上が正社員経験なし。それでも1000件を超える未経験OK求人を揃えています。
こうした就職支援エージェントは民間企業がビジネスで行なっているものなので、ハローワークのようなお役所仕事とは似て非なるものです。ハローワークのおじさんではなく、就職市場のプロコンサルタントが付いてくれるので性質もサービスレベルも段違いです。
参考ハローワークはブラック?フリーターの就活は転職エージェントに行くべき理由
「フリーターから脱出したいけど、今から就職活動するって、具体的にどう動いていいか分からない……」
というフリーターは、まず上記のような就職支援サービス・エージェントの所へ無料相談に行き、サポートを受けてみましょう。こうした就職エージェントは採用企業側から報酬をもらうビジネスなので、求職者(あなた)は無料で利用可能です。
リスクゼロで今日から踏み出せる最初の1歩として、まずは無料相談してみることをおすすめします。
20代フリーターが利用すべき転職サイト
- 社会人経験なし・未経験に強い「ハタラクティブ 」
- リクルートグループ運営の「就職Shop」
- 39歳以下まで利用できる「JAIC(ジェイック)」
- 国内最大の転職サイト「リクナビNEXT」
3. 海外で就職する
最後はちょっとトリッキーな方法ですが、日本を飛び出して海外で仕事を探すという選択を取る人がどんどん増えています。勇気と度胸こそ必要なものの、今の時代の選択肢としては全然アリです。
何年か前に、「ニートの海外就職日記」というブログで非常に人気を集めた「海外ニート」さんという方がいました。この方は日本のブラック企業に疲弊して辞めたあと、自分で英語を勉強して海外に飛び出し、シンガポールで無事に就職したという素晴らしいチャレンジをした方です。
有名になりすぎて身バレしたことで現在はもうブログ削除されているのですが、この海外ニートさんのように、先行きどうにもいかない人生の再起をかけて海外へ飛び出す人は近年増えています。
海外といってもアメリカや欧米など先進国は要ハイキャリアなので、就職先として人気なのは東南アジアです。TV番組の「ボンビーガール」では、単身でタイに移住して仕事を見つけ、現地で生活している人などよく特集されていますよね。
特別なスキルや経験がなくても、「日本語が喋れる」とうアドバンテージだけで就ける仕事は結構あります。王道で言えば「日本語教師」などですね。
また最近はテレアポやオペレショーンセンターを人件費の安い途上国に置く企業が増えているので、そこの求人を探すのもいいかもしれません。
ただ、いくら途上国で就職すると言っても、それなりの仕事を求めるならやはりキャリアは重要になります。社会人経験ゼロから挑戦するなら、まずは贅沢を言わずに入れるところに入ってゼロからキャリアを積むことを考えた方がいいでしょう。
幸いにも、物価の安いタイのような途上国であれば、日本のフリーターくらいの月収があればそれなりに満足な暮らしができます。
とはいえ、海外就職なんていきなり言われても何一つ想像できない人がほとんどでしょう。
海外就職についても、興味があるならまずは先に紹介した ハタラクティブ のような就職支援エージェントに相談して話を聞いてみることから始めてみると良いでしょう。
まとめ
新卒というプレミアム切符を逃して既卒フリーターになってしまうと、求人募集に正面から応募しても書類さえほとんど通過しないという厳しい現実と向き合うことになります。
そう考えると、やはりフリーター専門の就職エージェントのバックアップを受けるのが最も堅実かつ現実的な就職手段でしょう。
ただし、フリーター専門の就職エージェントのほとんどが20代専門です。つまり、フリーターから就職したいなら20代のうちがラストチャンスくらいに思っておいた方が良いでしょう。
30歳を超えたフリーターの末路は悲惨です。それにフリーターのままでは結婚するのも難しくなるのは間違いありません。
フリーターの現状を何とか脱したいのであれば、20代のうちに、さらに1年でも若いうちに勝負に出ましょう。ちょっとした勇気と行動力さえあれば、人生はまだいくらでも変えられます。
20代フリーターが利用すべき転職サイト
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