就活になると必ず耳にする「自己分析」というもの。
新卒での就活だと腐るほどみんな「自己分析!自己分析!」と言っているのだが、フリーター就職の人は馴染みがないというか「自己分析って何するの?」みたいな人も多いと思うので、この記事で簡単に解説したいと思う。
最初に言っておくと、私は元採用担当をしていたこともあるので面接官側の本音もぶっちゃけていく。
自己分析ってなに?どうして必要なのか?
自己分析とは言わば、これまでの人生の棚卸しみたいなもの。自分がどういう人間なのか? どういう価値観なのか? どういう強みを持っているのか? といった点を、客観的に洗い出してみる作業である。
自己分析の何が役立つのかというと、ES(エントリーシートや履歴書)や面接での「自己PR」や「志望動機」を組み立てやすくなることだ。
「私はこういう人間だから(自己分析)〜こうした貢献ができます(PR)」
のようなカタチで自己PRや志望動機に筋を通して説得力を持たせることができるわけである。
ぶっちゃけ、ほとんどの人はまともな自己PRや志望動機なんてない。志望動機なんて本音は大体「大企業だから」とか「給料が高いから」とか、そんなもんが普通である。
でも、もちろん履歴書や面接でそんなこと正直には言えない。だから、みんな「それっぽい志望動機を用意する」のだ。分かりやすくいうと「でっちあげる」のである(笑)。
とはいえ、その「それっぽい志望動機」をでっちあげるのも意外と難しいもの。「志望動機が書けない」という人は驚くほど多い。仕方なくテキトーにでっちあげると理屈に筋が通っていなくて矛盾が生まれ、面接官にそこを突かれてジエンドになったりする。
そこで、自己分析が役立つのである。
自己分析によって「自分がどういう人間か」「何が強みか」という部分がはっきり分かっていれば、そこを材料にして1本筋の通った志望動機や自己PRを組み立てやすくなるのである。
フリーター就職における自己分析のやり方
では、フリーターの場合どうやって自己分析を行えばいいのか? という具体的な話に進めていこう。
自己分析とは、自分の強み・適正・価値観といった部分を「客観的に示せる材料」を掘り探していく作業だということを念頭に置いておく。
アルバイト・部活動など、「チーム」で活動した経験をピックアップ
アルバイトや部活動、あるいは学生時代のサークルやボランティアなど何でもいいので「チームで活動した経験」を掘り返して、簡単なエピソードとして語れるよう準備しておく。
これは端的に言えば、会社組織で働く際の「協調性がありますよ」という部分を最低限示すもの。
プラス重要なのは、そのチームでの活動の中で「自分がどう貢献をしたか?何か結果を出したか?」と言った部分。つまり実績である。
例えば、「飲食店のアルバイトでは、バイトリーダーとして新人の指導からシフト管理・発注業務まで担当していました」という実績を語れれば、接客スキル(コミュ力や営業力)はもちろん、リーダーシップやマネジメントスキルのアピール材料になる。
さらに何かしら「結果」を見せられるとなお良い。
「私は居酒屋のバイトでお酒を作る担当をしていましたが、ドリンクを出すときに○○のような工夫をし、ドリンクの売上を1.5倍に増やすことができました」
「外での呼び込み業務では○○といった作戦を編み出したことで、呼び込み客を従来の2倍に増やしたことがあります」
「お客様と積極的に会話して仲良くなるのが得意です。バーのバイトをしていた時は私の常連客を20人以上作ることができました。常連になってもらうために、お客様の顔と名前、好みのドリンクや料理はもちろん、会話の中に出てきたその人の趣味や趣向まで全てノートにメモして暗記していました」
このように、何かしら「自分の企画・行動・創意工夫によって成果をもたらした」というエピソードが語れると強い。
また余談になるが、「体育会系のチームで揉まれた経験」があると評価する採用担当も結構多かったりする(とくに面接官自身が体育会出身の人間だと、体育会気質を好む傾向が高い)。
体育会系を経験していると「忍耐力」「理不尽耐性」「上下関係の礼儀」「粘り強さ」といった縦社会に必要な要素が身についているからだ(とくに理不尽耐性と上下関係が大事。文化系出身の方がこの辺ユルい人が多い印象)。
新卒就活なんかでも、大手企業で体育会系出身者が有利になりがちなのはこのためである。
スポーツ・趣味など「一つのこと」に継続的に打ち込んできた経験
部活動などの経験と一部かぶるかもしれないが、よりパーソナルに「一つのことに打ち込み・追及してきた経験」をピックアップしよう。
これは何もスポーツのように格好良いことでなくてもいい。ゲームでも良いしオタク趣味でもいい。何かしら「これを極めた」というものだ。私も採用担当をしていた頃、何かしら極めたものを持っている人はかなり好印象であった。
なぜかと言うと、何か一つでも「極めたもの」を持っている人間は強いからである。
大事なのは「成功体験を持っている」ということだ。何かに夢中になれる才能があり、上達する経験と喜び、結果を出す経験と喜びを知っている。それにより、少なからず「自分はデキる人間だ」という自信・自己肯定感を持っている。
また、その喜びを得るために「継続する力」「追及する力」「検証・改善する力」といった、あらゆる基礎能力を培っている。どれも評価するポイントである。
こうした「夢中になれる才能」というのはビジネスではめちゃくちゃ大事で、仕事のデキる人間というのは大体は何かしらの「オタク」であることが非常に多い。
ここで重要なのは、自分で「私はこれを極めました」だけではなく、極めたことが「客観的にわかる材料」を出すことである。つまり実績である。
- スポーツで全国○位をとった経験がある
- ゲームが好きなのでYouTubeでゲーム配信動画を撮っていたらチャンネル登録者数が○人を突破した
- 趣味のカメラをインスタグラムに上げていたらフォロワー○万人を突破した
- 絵を描くのが好きなので、描いた絵をTwitterにアップしていたらフォロワー○人まで増えて、アイコンの作成依頼などDMをもらうようにまでなった
趣味レベルでも良いから、こういう語れる実績を持っている人は強い。別に実績自体はそこまで凄くなくてもいいので、「これを頑張ってきました」以上のことを結果ベースで言えないとちょっとツラい。
が、しかしだ……
そんな語れるような特技や趣味なんて何もないよ!!!
という人の方が大半だと思う。
まぁ正直な話をすると、こうした点は持っていれば加点要素になるが、とくに何もなくても減点要素にはならない。なぜなら、何の実績や特技も持っていない人の方が普通だからである。
採用側の立場をぶっちゃけると、フリーターを面接する時点で「経験とスキルのある有能な人を採用したい」なんて考えはさほどないのが本音。いたらラッキー程度である。本当に有能な人材を採用したいならスカウトだったり正社員の転職組を採用するからである。
言い方は悪いが「フリーターにはさほど期待はしていない(能力的な意味で)」のが実情なので、語れるようなスキルや経験を持っていなくても心配する必要はない。
自分の強み=資質・得意なことを知る「才能診断テスト」
もう一つ、自己分析で欠かせないのが才能診断テストである。
才能診断とは、一種の心理テストのようなもの。用意された質問事項に直感的に答えていき、その結果からあなたの資質や才能といったポテンシャルをパラメータで測定するという感じある。
「自分がどういう人間か?」というのは意外と本人も分かっていない、または勘違いしているケースが多くて、こうした才能診断テストを受けることで自分という人間を客観的に見つめ直すことができるわけだ。
自分の才能を知るということは、仕事選びにおいて非常に重要なポイントになる。まだ一度も受けたことがない人はぜひ一度受けておくことをおすすめする。
参考までに、私が受けた中で一番おすすめの診断テストを紹介しておく。
【無料】グッドポイント診断(リクナビNEXT)
無料でありながら最も本格的な才能テストが「
リクナビNEXTのグッドポイント診断
リクナビNEXTに会員登録すれば、誰でも受けることができる。
会員登録
リクナビNEXT
30分程度かけてガッツリ質問に答えていく形式であり、かなり本格的なテストと言えるだろう。診断結果は実に8568通りものパターンに分かれており、ほぼ自分だけの最適な答えを受け取ることができる。
公式HP
リクナビNEXTのグッドポイント診断
メールアドレスを入力すると本登録用のメールが送られてくるので、メール記載のURLから氏名や年齢などを入力すれば即完了。
早速、才能診断テストを受けてみよう。
質問項目はだいたいこんな感じで、次々出てくる項目に直感で答える(「直感で」答えるのが大事)。
問題は全3部から構成されている。
- 第一部93問
- 第2部126問
- 第3部74問
全293問
所要時間は30分〜40分くらい。ながら作業ではなく、しっかり腰を据えて行った方がいい。
そしてテストが終わると、あなたが最も強く持つ資質・才能が5つ導き出される。
各項目についても丁寧な解説がついてくるので、しっかりと読んで自分の資質・才能がどこに向いているのかを考えてみよう。
自分のパラメータがわかれば、自分が「どんな仕事ができるのか/才能が発揮できるのか」がわかるはずだ。
【有料】さあ、才能(じぶん)に目覚めよう(書籍)
こちらの書籍「さぁ、才能に目覚めよう」は、才能というテーマを徹底的に追求している自己啓発本である。出版は2001年とちょっと古いが、サラリーマンを中心に大ベストセラーを記録している不朽の名作であり、今なお新装版とかシリーズ関連本が出ている。
この本の中に、心理テストが収録されている。
本自体の内容はかなり濃密で読み応えのある分厚さなのだが、 もの凄くざっくり要約するとこの本が伝えたメッセージは以下の一文に集約される。
”人にはそれぞれ適正な資質(才能)があり、それは一生変わらない”
大事なのは、「資質(才能)は一生変わらない」という部分である。
人の資質というのは10代のうちに脳内回路で形成され、一度完成した回路はその後に変化することはないという根拠のもと、
自分の唯一無二の才能を知り、その才能が最も活かせることを仕事にしなければならない。
ということを、あらゆるデータをもとに主張をしている本である。
本書では「ストレングス・ファインダー」なる、自分の秘めた才能を「5つの資質」に特定できる本格的なプロファイリングテストが用意されており、本書に記載されたアクセスキー(パスワード)を診断テスト用ウェブサイトのログインIDとして使用できる形式になっている。
ストレングスファインダーもこんな感じで、グッドポイント診断とほぼ同じ。ただ問題数がさらに多くて全問答えるのに1時間以上かかるヘビー級のテストである。
で、全問に答えると、全34種類に分別された資質から、自分に最も備わっている資質を5つ導き出してくれる。
資質の項目がちょっと抽象的ですが、詳しくは本書に書かれている。
ただ、この本の才能診断はいくつかややデメリットがある。
注意ポイント
- 必ず「新品」を購入する必要がある
- 分厚い本なので全部読むのがかなり大変
- 診断テストに1時間以上かかる
まず、診断テストを受けるには必ず新品を購入する必要がある。本書に記載されたアクセスキー(診断テストを受けるパスワード)は1冊ごとに違い、一度使われたアクセスキーは二度と使えない。
つまり、Amazonなどで中古本を買ってもアクセスキーがすでに使用済みの可能性が高く、テストが受けられない可能性が高い。新品だと結構高い本なので、それなりにお金がかかるのは注意しよう。
自己分析は転職エージェントに相談・添削してもらうこと
ここまで自己分析について色々書いてきたが、ぶっちゃけ「自己分析はなんとなく分かったけど、実際に志望動機とかどうすればいいか分からない」という人が多いだろうと思う。
そういう人は、いざ就活に出向く前に、必ず転職エージェントに相談して事前にチェックしてもらうことだ。
転職エージェントというのは、求人案件の紹介から履歴書の添削・面接指導まで就活全般をお世話してくれるコンサルタントサービスのこと。フリーターの正社員就職なら、フリーター専門の転職エージェントがある。
自己分析や自己PR、志望動機の書き方なんかもプロのコンサルタントが添削してくれるので、まずはザッと書いてみて見てもらうと良いだろう。
エージェントがしてくれること
- 就職の相談
- 求人案件の紹介
- 履歴書の書き方指導
- 面接の指導(模擬面接)
- 企業との給料交渉・スケジュール調整
ちなみに、転職エージェントは無料で利用できる。採用企業側から報酬をもらうビジネスなので、転職者側は一切の費用がかからずお世話になり放題である。
公式HP
ハタラクティブ
フリーター就職を専門としたエージェントで最大手の「
ハタラクティブ
他にもフリーター就職に強い転職エージェントは下記の通り。どれも無料で利用できるので存分にお世話になろう。
20代フリーターが利用すべき転職サイト
- 社会人経験なし・未経験に強い「ハタラクティブ
」 - リクルートグループ運営の「就職Shop」
- 39歳以下まで利用できる「JAIC(ジェイック)
」 - 国内最大の転職サイト「リクナビNEXT」
ちなみに、フリーターが正社員就活するとなるとハローワークに行く人が多いが、ハローワークはブラック求人や空求人が多い上に、肝心の相談員も非正規雇用のおじさんなので全くおすすめしない。
同じ無料なのだから、転職市場のプロがついてくれる転職エージェントで相談しよう。