「正社員よりフリーター・バイトの方が稼げる」という主張が間違いな理由

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近年、アルバイトの最低時給が引き上げられる現象が起きている。

東京都は2019年には最低時給1000円の大台にのる見通しで、仮に1日8時間 × 22日働けば最低でも月18万程度の収入は立つようになる。

それに伴い、最近のとくに若い層の中には、

 

「もう今の時代、下手な正社員よりフリーターの方が稼げるし、無理に就職しなくてもフリーターでよくない?」

 

という考え方や価値観を持つ人も増えてきている。

さて、本当にその通りだろうか? という点をこの記事で具体的に書いていきたい。

先に私の結論を述べておくと、お金の面で比較した場合、生涯的にフリーターが正社員より稼げるなんてことは全くなく、「正社員よりフリーターの方が良い」というのは100%完全な勘違い……と捉えている。

これは推測だが、「下手な正社員よりフリーターでよくね?」と考えている人は、ほとんどが10代か20代の若者ではないだろうか?

30代以上の中年フリーターで「フリーターで良かったわw」なんて思ってる人は100%いないだろう。

おっさん・おばさんのフリーター人生がどれだけ地獄か身に染みてるからだ。

前置きはこの辺にして、フリーター VS 正社員について具体的に書いていく。

目次

「正社員よりフリーター派」というフリーター側の主張を検証する

まずフリーター側に立って考えてみる。「今の時代、下手な正社員になるくらいならフリーターでよくね?」派の主張は、大きく以下の理由によると思う。

月給20万円にも満たないブラック正社員がごまんとある時代。それならフリーターの方が稼げるのでは?

賃金にそこまで大差ないなら、時間的自由度が高く残業もないフリーターの方が楽では?

パワハラや過剰労働で死んだ目をしながら会社員になるくらいなら、フリーターで最低限のお金を稼ぎながら自由に生きる方が幸せでは?

一般論としてよく語られるのはこの辺りだろうか。なるほど、確かに一見すると、あながち間違っていないようにも聞こえる。

ただ、これらの主張に対してまず1つツッコミを入れざるを得ない点は、

「フリーター側の言う”ブラック企業で月給20万円以下でパワハラ・長時間労働で虐げられている正社員”というのは、全体から見れば最下層のほんの数%、ごくごく一部にすぎないぞ。テレビやメディアに影響されすぎだ

ということである。

テレビ特集なんかがよくこうしたごく一部の例を「正社員の苦しい実態」なんて報道するから、それを観たフリーターの人は「なんだ、正社員もこんなもんじゃん?」と勘違いしがちだ。

だが実際サラリーマン全体で見れば、ほとんどの正社員はフリーターより給料も高く、休日数も多く、ホワイトとは言えないまでもブラックでもない普通の会社で働いているのが現実である。

なので正確に言ってしまえば、フリーターライフはこうした正社員の最も下に位置する数%の人たちと比較して、ようやく互角以上に戦えるレベル……というのが実際のところなのである。

フリーターが比較したがる正社員像は、平均的な正社員像ではなく、正社員の中でもごく一部の一番悪い例でしかないということである。

それを前提に踏まえた上で、上記のフリーター側の主張を今一度考えてみたい。

 

「正社員よりフリーターの方が稼げる」が100%嘘なのはデータで比較すれば分かる

以下に示す実際のデータを見てみると、フリーターが正社員(平均)より稼げる現実なんてほとんどないことが分かる。

月給・年収で比較してみる

フリーターの月給・年収例

まずフリーターの場合、仮に時給1000円 × 1日8時間 × 月22日で計算すると月給176000円/年収210万円ほどを目安としよう。

厚労省の統計だと、フリーター含む非正規雇用者の70%以上は年収200万円以下なので、月給17万/年収200万というラインはフリーターの目安になる。当然、会社員のような各種ボーナスや手当といったものはない。

フリーターの月給・年収目安

  • 月給:17万円
  • 年収:200万円

そしてフリーターの年収を語るときに大事なことは、フリーターは基本的に年が上がっても年収は増えていかないということである。年齢やキャリアに関係なく、あくまで勤務時間で給料が決まるシステムなので当たり前である。

20代の頃は掛け持ちして1日12時間以上働けていても、その体力は長くは続かない。そう考えると、フリーターは歳を取るほど稼げなくなる(=勤務時間が減る)とも言える。

正社員の月給・年収例

よくサラリーマンの平均年収として400万円とか言われるが、あれは「サラリーマン(=給与所得者)」という括りであって契約社員など非正規職員も含まれているため、「正社員のみ」の平均年収ではない。

”正社員のみ”という条件での平均収入は、厚労省の賃金構造基本調査(平成29年度)がデータを出している。

▼正社員の平均賃金(月給)▼

賃金の総合平均
321,600円(年収450万)
男性正社員の平均賃金 女性正社員の平均賃金
348,400円(年収487万) 263,600円(年収370万)

年収については、ボーナスを控えめに月給2ヶ月分として仮計算してみた。大手だと4ヶ月分以上出ることもザラだが、ここでは多数派である中小企業の正社員をイメージしておく。

ご覧の通り、全体平均ではフリーターの収入は正社員に遥かに届かないどころか、2倍以上の差があるのが現実である。

正社員の月給・年収目安

  • 月給:32万円
  • 年収:450万円

※およその数字
※ボーナスは控えめに2ヶ月分で換算

ただ、正社員は基本的に年齢が上がるごとに給料も上がる仕組みのため、若いうちはこの収入差が分かりにくい。

正社員の平均賃金を、年齢別で見てみると次の通りだ。

男性正社員の平均賃金 女性正社員の平均賃金
20〜24歳 212,900円 206,300円
25〜29歳 252,000円 232,500円
30〜34歳 294,600円 252,700円
35〜39歳 331,200円 269,400円
40〜44歳 366,900円 283,000円
45〜49歳 404,900円 295,100円
50〜54歳 437,300円 300.500円
55〜59歳 428.700円 293,300円

※年収については、それぞれボーナス2〜4ヶ月と想定して、14〜16倍で掛け算してみてほしい。

これが正社員の現実的な平均収入である。メディアで取り上げられるような「平均年収200万円未満でこき使われるブラック正社員」なんて、全体からみればほんの一部の少数でしかないのだ。

フリーターと正社員の収入が近いのは20代半ばまで

以上を見てわかる通り、確かに20代前半のうちはフリーターの平均月収(年収)とそこまで大きな差はない。とくに女性ならなおさらだ。

しかし歳を重ねるとどうだろうか。20代後半から正社員の収入はどんどん上がりはじめ、30歳を超えてくるころにはフリーターの手が届かない差にまで広がることがわかる。

それが分かりやすいグラフ↓

正社員と非正規の賃金水準のグラフである。20代前半は近いところにいるが、歳を重ねるごとに両者の差はどんどん開いていく。100m走で、スタート直後は日本選手もウサインボルトも横並びなのと一緒だ。だが、時間が経つごとに差はどんどん開き始める。

正社員は年次を重ねるごとに右肩上がりで収入が増えるが、フリーターの収入はいくら歳を重ねても変わることがない。

記事の冒頭で、「下手な正社員よりフリーターでよくね?派の人は、そのほとんどが10代か20代半ばくらいの若者ではないだろうか?」と言ったのは、そうした人は20代前半の収入差がまださほど開いていない時点だけを見て、正社員との収入を比較しているからである。

これが30歳40歳のフリーターだと、同年代の正社員と比べて絶望的な収入差が開いてしまったことを知っているので、「フリーターの方が稼げる」なんて発言は絶対に出てこない。

20代フリーターの人で「正社員もフリーターも収入変わらなくない?」と思っている人には、

 

「それは今だけ(20代半ばくらいまで)の話。30歳になるころには埋めることができないほど収入差が開くぞ」

 

という現実を理解しておいてほしい。

 

フリーターと正社員の生涯賃金の差は3倍以上違う

https://matome.naver.jp/odai/2141023436482934001

続いて、フリーターと正社員で「生涯賃金」を比較してみよう。生涯賃金とは「一生を通して稼ぐ金額」だ。正社員とフリーターで、生涯賃金はおおよそ下記のようになる。

生涯賃金の比較

  • 正社員(全体):約2億円弱
  • 大卒正社員:約2億5000万
  • 社員1000人以上の大企業正社員:約3億円強
  • フリーター:約6000〜8000万円

※いずれもあくまで平均値。

ご覧の通り、正社員とフリーターではもはや桁が違う。フリーターと正社員では約3倍、人生3回分の収入の差があるのだ。

「フリーターと正社員で収入はさほど変わらない」なんて事実は全くなく、一般平均でみれば、正社員は人生を通してフリーターの約3倍を稼いでいるのが現実である。

参考までに下記記事では「フリーターで一生いきていけるのか?」という問題を検証している。結論をいうとフリーター収入で一生暮らすのはかなり厳しく、老後破産するケースが増えているのが現実である。

年金・保険料・各種手当などを含めると、正社員との待遇差はさらに開く

私は自営業だが、よく”自営業はサラリーマンの3倍稼いでやっと対等である”と言われる。それほど正社員というのは、見た目の年収以上に、年金や保険料や各種手当といった面で会社から恩恵を受けているからである。

会社員の場合、厚生年金など会社が半額を負担してくれるし、住宅手当を初めてとして会社が様々な手当を出してくれるシステムがある。

それに比較して自営業(フリーター含む)は、国民年金や国民健康保険料など全て自己負担だし(しかも会社員より高い!)、ボーナスや手当も基本的に存在しない。年収200万の中から全て自費で出さなければいけないので、可処分所得(手元に残って自由に使えるお金)は年収差以上に差を付けられてしまう。

ここまで考慮すると、少なくとも経済的な面においては、「フリーターの方が正社員よりも良い」なんてことは口が裂けても言えないことが分かると思う。

フリーターの時間的自由さを魅力に感じるのは10代〜20代の価値観

 

「毎日満員電車に乗って、上司からのパワハラに耐えて、安月給で長時間労働を強いられて、家と会社を往復するだけの会社員生活なら、収入は多少低くても時間的に自由なフリーターを続けて、趣味やプライベートの目的を充実させた方が幸せではないか?」

 

……というよくあるフリーター側の主張をするのは、大体が10代20代のフリーターである。

こうした主張で比較されがちな「上司のパワハラに耐えて、安月給で長時間労働して家と会社の往復だけが人生の正社員像」というのは、メディアでクローズアップされやすいだけのごくごく一部に過ぎないよ……というのは上記で散々書いたので置いておくとして、

こうした主義主張・価値観は、10代〜20代という若さがあるからこそ持てるものであると私は思っている。

前述の通り、20代のうちはまだ正社員組と決定的な格差が出ない。そのため、耐えきれないほどの劣等感や不安はまだ襲ってこない。10代20代フリーターは世の中にも多いので、似たような仲間がいることも心の支えになるだろう。

そして何より、10代や20代には未来がある。20代なんて夢や目標に向かって打ち込める黄金期だ。ゆえに「やりがい」とか「好きを仕事に」とか「縛られない人生」のような価値観に魅力を感じやすい年頃なのだ。そんな若者らしい価値観を否定するつもりは1ミリもない。

 

……しかし、そんな価値観はフリーターとして30歳を超えた頃から次第に変化していく。30歳を超えると、フリーターであることの自由より、強烈な劣等感や孤独感が勝ってくるようになる

以下は、フリーターの一生を表す有名なコピペである。

☆20代前半
Fラン大学卒業間近、まわりは正社員に就職出来た方が少なく、フリーターが多数というに環境に安心する
「不景気だから」「就職難だから」「これが普通だから」と自分に言い聞かせ納得する
フリーターもしくは派遣社員としてのスタートを「新社会人デビュー」「フレッシャーズ」と言い張る
零細企業で働いている高校時代の友人より収入が多く、少し天狗になる 
就職先を聞かれると迷わずバイト先の親会社の企業名を答える

 

☆20代後半
正社員雇用に関心を持ち始めるが、転職活動など具体的な事は何もしない
月収はそこまで差はないが、友人たちのボーナスの話がとても気になる
「まだ20代だから」「男は30代が勝負」とまだ余裕があるように自己暗示をかけ続ける 
クルマなどの大きな買い物をするとき、ローンが通りにくいと気付く

 

☆30代
バイト先が20代が多くなってきて居づらくなってくる
バイトから正社員登用を密かに期待していたのに、店長から「そろそろどこかに就職しないの?」と言われショックを受け退職する
重い腰をあげて正社員を目指して就職活動するが、「10年間職歴無し」とみなされどこも受からない 
友人たちは次々と役職に付き、結婚したりマンション買ったりしはじめる。が、式や新居に招待されることは無い
30代にして年収で友人たちと150万近くの差がつき、人生に不安を感じる

 

☆40代
転職、結婚、安定した将来、すべてが幻となった事にはっきり気付く
同じフリーター生活だった大学時代の友人たちが就職したり家業を継いだりという話を聞き、羨望と嫉妬と筋違いの怨恨の感情が芽生える
仕事の選択肢は夜勤と重労働ばかりの日雇い派遣労働しか残されておらず、それすら体力のある20代・30代に横取りされる

 

☆50代
もはや、人生のすべてを諦めた。日々を生きてゆくことが精一杯である
友人たちは子供が成人して一安心。老後の事が真剣に不安になってきた
高齢の為、派遣屋から仕事が来なくなってきた。やむなく遠方まで行く

 

☆60代
いざ路上へ・・・さらば人生

参考記事フリーター・ニートの将来が不安になる2ちゃんコピペまとめ

ネタとしてデフォルメされているが、あながちあり得なくもない話だしリアルに想像できるから怖い。

コピペの通り、フリーター生活は30歳を超えてくると一気に苦しくなってくる。収入格差、結婚、就職などあらゆる諦めとともに八方塞りになってくると、次第に「自由度の高い人生」よりも「安定した人並みの(正社員が送っているような)生活を送りたい」という願い(価値観)に変わってくるのだ。

「フリーターで良くない?」と主張する20代フリーターはいても、「フリーターおすすめだよ」と主張する30代40代のフリーターはそういないだろう。彼らは皆すでに「できることなら正社員になって安定したい」という価値観に変わっているからだ。

 

【結論】フリーター人生の方が経済的に苦しいのは明らか

フリーターの中には、夢や目標に一生懸命取り組んでいて、そのチャレンジ期間を食いつなぐためにフリーター(バイト)をしている人もいるし、その選択は尊重されるべきだと思う。

ただ「金」の面で言えば、フリーター人生の方が貧乏に苦しむことになるのは100%間違いない。

ましてや、正社員よりフリーターの方が稼げるなんて事実は1000%ない。

一般平均で見ればフリーターの方が収入は圧倒的に少ないし、収入あたりの労働時間も長いし、有給もないし、結婚もしにくくなるし、将来の年金も少ないし……と、あらゆる面で正社員より圧倒的に苦しいのは、今の日本社会では覆しようがない事実なのだ。

もし、「やりたい仕事が見つからない」とか「なんとなく流れで……」みたいな煮えきれない理由でフリーターを続けてしまっているなら、素直に正社員への就職活動をしてみた方がいいだろう。

20代であればフリーター専門の就職エージェントがあるので、そこに相談すれば担当のキャリアコンサルタントが就職の世話をしてくれる。

公式HP ハタラクティブ

例えば上記は20代フリーター向け就職支援サービスの最大手「 ハタラクティブ 」。

利用者のほとんどが20代かつ、半数以上が正社員経験すらなし。それでも1000件を超える未経験OK求人を揃えており、就職成功率も80%を超えている。

「新卒を逃したからまともな就職はもう無理だろう」と勘違いしている20代フリーターが結構多いのだけど、実際に就職業界のプロに話を聞けば全然そんなことないことが分かるだろう。ただでさえ今はバブル期を超える売り手市場なので、20代の若さがあって正社員になれないなんてことは絶対にないから安心していい。

ちなみに……サポート対象は18歳〜29歳限定である。

30歳以上はNGなので、やはり正社員就職するなら20代のうちが勝負だ。JAICなど転職エージェントは無料で利用できるので就職活動するなら必ず利用しよう

⇒ハタラクティブに相談してみる(無料)

【※30代フリーターに朗報】フリーター就職大手の「ジェイック」が対象年齢を29歳以下→39歳以下に拡大した。30代のフリーターにも希望の光が誕生…! ⇒ ジェイック公式サイトはこちら

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また一般的な就活でなくとも、

  • アルバイトからの正社員登用を狙う
  • 海外の現地法人での就職を狙う

など、色々と道はあるものだ。

フリーターの就職方法については下記記事に詳しくまとめているので、「どうせ正社員は無理だし……」と諦めの気持ちからフリーターを続けてしまっている人はぜひ参考にしてほしい(ただし、やはり基本的に20代フリーター向けである)。

参考記事20代は急げ!大卒で社会人経験なしの既卒フリーターが就職する方法

 

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