この記事では、仮想通貨の税金や確定申告について初めての人でもなるべく分かりやすいようにまとめていきます。
本業がサラリーマンや公務員の人は、確定申告自体が初めてという人も多数いると思うので、初歩の初歩的なところから解説していきます。
まず基本から!「確定申告」とは?
確定申告とは、「自分は今年いくら稼ぎましたので、いくらの税金を納めます」という書類を税務署に提出することです。
1月1日〜12月31日までの稼ぎ(事業成果)を所定の確定申告書にまとめ、翌年の2月15日〜3月15日までの間に管轄の税務署に提出。そして「所得」にかかる税金の支払い。という流れになります。
※「所得」とは……事業の売上から必要経費などを差し引いて手元に残った額(利益)から、さらに各種控除などを差し引いた額。
- 所得 = 売上 – 経費 – 控除
仮想通貨の場合は、経費がほぼかからないと思うので、ざっくり「利益」をイメージしておけばOKです。
誰が確定申告する必要あるの? 収入いくらから?
専業の個人事業主の人は、年間の所得が38万円を超えた人は確定申告をして税金を払う必要があります。年間所得38万円以下の人は確定申告・税金の支払いは不要です。
サラリーマンや公務員で副業として行なっている場合、年間所得が20万円を超えた人は副業分について確定申告を行い、税金を払う必要があります。
確定申告&税金発生の条件
- 専業の人:年間38万円以上の所得
- 副業の人:年間20万円以上の所得
確定申告のやり方は?
確定申告は、①申告書の作成、②申告書を税務署に提出という2ステップになりますが、
- ネットで申告書を作成、プリントアウトして税務署に郵送
- 税務署にて申告書の作成、その場で提出
という2通りの方法があります。
ネットで確定申告書を作成する場合
国税庁の「確定申告書作成コーナー」にて、作成ができます。
基本的に指示に従って進んでいけば申告書の出来上がりとなります。所定の欄に「売上」や「経費」や「控除」など必要な数字を入力していけば、計算などは全て自動で行なってくれるので簡単ですね。
申告書が作成できたらプリントアウトして、管轄の税務署宛に郵送すればOKです。
自宅のパソコンでできるので簡単便利ですが、難点としてはサイトが2010年代のWebサイトとは思えないほど使いにくい(さすがお役所レベル)ので、指示通りに入力を進めても「?」な箇所が出てくるかもしれません。
その時は「確定申告書作成コーナー やり方」とかで検索すれば、丁寧に解説してくれているブログなどがヒットするので、そちらを見ながら進めるといいです。
税務署で確定申告書を作成する場合
直接税務署にいって用紙をもらい、その場で作成する方法もあります。
こちらのメリットとしては、分からない点をその場で税務署職員に聞けることですね。確定申告が初めての人は、税務署にいって質問しながら書いた方が安心かもしれません。
デメリットとしては、税務署に行くのが面倒くさいという点と、繁忙期になると確定申告の人たちで税務署がめちゃくちゃ混むということです。
確定申告は2月15日〜3月15日ですが、3月に入ってから締め切り日までは超混みます。「ふざけんなやってられるかっ!」ってくらい人でごった返すので、税務署で作成する場合は悪いこと言わないので2月中に済ませておきましょう。
サラリーマンや公務員は確定申告すると会社・職場に副業がバレる?
年間20万円以上稼ぐと、住民税でバレる可能性がある
副業がバレる可能性があるのは、年間20万円以上稼いで税金が発生した時の「住民税」です。
サラリーマンや公務員の住民税というのは、給料から自動で天引きされる仕組みになっています。副業で稼いだ分(増えた分)の住民税も、本業分とまとめて本業の給料から天引きされます。
このように、本業・副業分の住民税をまとめて給料から天引きするシステムを「特別徴収」と言います。
住民税は年間所得の10%ですが、副業で副収入を得ていると当然ながら住民税の額が上がってしまいます。すると、職場内であなたの住民税だけが同僚と比べて不自然に高くなっていることが発覚し、副業の存在がバレる可能性があります。
バレない方法は、副業収入の住民税を「普通徴収」に変更すること
副業をできるだけ職場に知られたくない場合は、副業収入分の住民税を自分で支払うという方法があります。
基本の状態だと、本業+副業収入分の住民税が合わせて本業の給料から自動天引きされる「特別徴収」という仕組みになっています。
これを、副業収入分の住民税のみ”自分で納める『普通徴収』”に変更することで、本業と副業の税金(住民税)を切り離すことができます。
- 「特別徴収」:給料から自動天引き
- 「普通徴収」:自分で税務署に納める
副業収入分の住民税を普通徴収に変更する方法は簡単で、確定申告書の中にある「給与所得者以外の住民税の徴収方法の選択」という枠の「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れるだけです。
こうして副業の住民税を自分で納めるようにするだけで、副業が会社にバレる確率をグッと減らすことができます(ただし、100%バレないわけではありません)。
確定申告しないとどうなるの?
確定申告をしていない人間に対して税務署は、過去5年に遡って追徴課税(=つまりペナルティ)を課すことができます(金額が大きいケースは過去7年)。
追徴課税とはつ利子のようなものです。
つまり確定申告をせず税金逃れしていると、ある年に税務署職員が税務調査にやってきて、過去5年で支払っていない税金分 + 延滞利子分でより膨れ上がった額を支払うハメになる可能性があります。
税務署はこの追徴課税をたっぷり取るために、申告してない人を発見してもワザと数年は泳がせるとも言います(鬼畜)。で、3年〜5年たって延滞利子がたっぷり貯まった頃にいきなりやってきます。
なので、「今年確定申告しなかったけど税務署から何も言われなかった(バレてない)のでセーフ!」と思っていると大間違い。数年後に痛い目を食らうかもしれません。
税務調査は100%くるわけではなく、税務署が「こいつ怪しい」と思ったところに抜き打ちでやってきます。5年間は税務調査の恐怖に震えて眠ることになるので、年間20万円以上稼いだら必ず確定申告しましょう。
悪いこと言わないので、マジで税金はナメない方がいいです。
仮想通貨の税金について詳しく!
仮想通貨(ビットコイン)の「利益確定」とは具体的に何を指すか?
仮想通貨の投資(トレード)をしていて、何をもって「利益の確定」となるのか? ネット上の”仮想”の通貨とあって、まずココが曖昧です。
この点についてひとまず、9月に国税庁のタックスアンサーから下記の簡単な見解が出されています。
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。
このタックスアンサーが言っていることはつまり、
「ビットコインの”使用”で発生した損益は、”雑所得”になります」
ということです。
国税はビットコイン限定で回答していますが、ひとまず以下の解説は全ての仮想通貨(アルトコイン含む)に適用される解釈としてお読みください。
まずこの「使用」という解釈なのですが、以下のケースに該当します。
- ビットコインで物を買う
- ビットコインを円に替える
- ビットコインで他コインを買う
※「ビットコイン」=「仮想通貨」としてOK
仮想通貨は現在ほとんどが投機目的で購入されているため、気にしておきたいのは
- 「コインを円に替えた場合」
- 「コインで他コインを購入した場合」
この2ケースによって差益(利益)が生じた場合です。
仮想通貨を最初に購入してずっとホールドし続けている(他のコインや円に替えていない)人はシンプルですね。
- 50万円で1BTCを購入
↓ - 1BTCが60万円に値上がり
↓ - 1BTCを売って60万円に戻す
=10万円の利益が確定!
このように売買をほとんどしない長期投資の人は簡単ですが、
頻繁にトレードしている人はもうお手上げ
です。
全てのトレード履歴を洗い出して、1個1個の利益を算出する(しかも当時のレートで!)なんて税理士でも無理ゲーだろう……というのが私の所感。
ぶっちゃけ、この税制上で仮想通貨の利益を正しく申告・納税できる人なんてほとんどいないのではないでしょうか?
頻繁に取引している人は、取引履歴を取引所からCSVなどでダウンロードして一個一個計算するしか今のところなさそうです。できれば、数万払っても税理士にお願いした方がいいでしょう。
一番シンプルで簡単な利益算出方法は、年末に保有通貨全てを一度利確してJPYに戻し、その額から年間の入金総額を引いて計算するもの。全て利確するのでまるっと税金を払うことになりますが、これが一番簡単で分かりやすいです。
おそらく、2018年の税金徴収で国も「このままじゃアカン」と気づくはず。次年からはもっと分かりやすく制度を組み立て直すことに期待しましょう。
仮想通貨の収益は「雑所得」に区分。最大50%越えの税金がかかることに!
もう一つ、国税局のタックスアンサーによって、仮想通貨の損益が「雑所得」に区分されることも明らかになりました。事業所得ではなく、雑所得です。
「雑所得」というのは、例えば転売やアフィリエイト収入など一般的な副業ビジネスなどと同じ区分です。
最悪なのは税率です。
「雑所得」にかかる所得税率は、所得金額に応じて以下のように変動します。
投資利益 | 所得税率 | 控除額 | 住民税率 |
〜195万 | 5% | 0 | 一律10% |
195万 〜330万 |
10% | 97,500円 | |
330万 〜695万 |
20% | 427,500円 | |
695万 〜900万 |
23% | 636,000円 | |
900万 〜1800万 |
33% | 1,536,000円 | |
1800万 〜4000万 |
40% | 2,796,000円 | |
4000万〜 | 45% | 4,796,000円 |
「所得金額」=総売上(投資利益) ー 経費 ー 各種控除額
ご覧の通り、所得税(5〜45%)+住民税(10%)で合わせて最大55%近い税金がかかります。仮想通貨投資で大当たりして年間4000万円以上儲けても、半分は税金で取られてしまうわけですね……。
株式投資なら税率20%とかなので、この雑所得の税率が仮想通貨投資の大きなデメリットですね。
他の所得と損益通算できる?
ある事業Aでのマイナス利益を、別の事業Bのプラス利益から差し引いて計算することを「損益通算」と言います。
仮想通貨投資をしていれば、利益が出るどころかむしろ利益マイナスになることも多いにあります。そんな時、仮想通貨のマイナス分を他の所得から差し引いていいかという問題ですが、
同じ雑所得の区分内なら損益通算が可能です。
しかし、区分を超えて他区分の所得との損益通算は不可能です。
例えば、
- 株や金融商品の配当収入(配当所得)
- サラリーマンの給料(給与所得)
- 転売など個人事業主の専業事業(事業所得)
- 不動産収入(不動産所得)
これらの利益(所得)とは、損益を通算することができません。
ただ、副業でネット転売やブログ・アフィリエイトをしている人は、”本業でない副業収入”ならば雑所得に区分されるはずなので、同じ雑所得同士での損益通算は可能です。
例えば、ネット転売で100万円の利益が出たけど、仮想通貨で40万マイナスとなった場合は、差し引いて60万利益で申告して大丈夫です(計算はあくまでイメージ例です)。
※専業の場合、「雑所得」と「事業所得」の基準はけっこう曖昧です。
個人事業主が専業として行なっていると主張すれば仮想通貨投資も「事業所得」に認められる可能性もなくはないですが、表向きな活動実態がないので難しいかもしれませんね。
「事業所得」であれば他区分の所得と損益通算ができるので、できれば雑所得ではなく事業所得になった方がありがたいわけです。
年をまたいだ損失の繰越はできない!
もう一つ重要なことに、仮想通貨は損益を次年度に繰越できません。
例えば、2017年に4000万円の利益が確定したとします。所得税と住民税で約半分の2000万が税金として確定しました。
その後、年明けた2018年1月にトレード失敗して4000万の損失を出したとします。この時、手元の資金は0になるわけですが、前年の利益4000万を帳消しにすることはできません。前年分の税金2000万は確定なので、手元の資金0の上に税金2000万の支払い義務だけが残ることになります。
(これが株式投資なんかだと、今年出したマイナスを前年のプラス利益と通算することができるのです)
つまり何が言いたいかというと、
税金分の資金は今すぐ抜いてください。
意外なほど多くの人が、2017年の利益確定したのに税金分を抜かずにそのまま全力トレードを続けています。これもし、相場が急落して税金分すら割ってしまったら税金払えなくなりますからね。
税金は、たとえ自己破産しても逃げられません。それくらい「絶対的な存在」です。
「税金分を今抜くと軍資金が減っちゃうから、3月までにもっともっと増やしてから税金利確しよう!そうしよう!」
なんて考えている人が一番危険。急にバブルがはじけて大暴落した瞬間に終わります。
日本でFXが爆発的ブームになった時も、同じことが起きました。前年に爆益出したのに、調子乗って年明け後も全力トレードしていたら大損して、利益が残らないばかりか税金すら払えなくなった人が続出したのです。
気持ちはめちゃ分かりますが、今後何が起こるか分かりません。明日にもバブルが崩壊するかもしれないので、税金分だけは今すぐ利確して銀行口座に戻しておきましょう。
まとめ
現状、仮想通貨の税金について明らかになっているのはこの程度です。
まだタックスアンサー(いわゆる「よくある質問コーナー」)の中で発表された”ひとまず”の見解に過ぎず、はっきり言ってこれだけの情報で仮想通貨の利益を的確に計算して確定申告するのは難しいです。
全ての取引履歴を洗い出して、1つ1つの取引の損益を当時のレートで計算するなんて土台無理でしょう。何らかの、もっと簡易的な計算で申告するようになるはずです。
また新しい情報や見解がでれば、その都度この記事に追記していきます。