昇進・出世したくない人が増えた理由と、出世しなかった後悔と【管理職が嫌で転職する人】

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昇進・出世したくない人の割合6割!? 出世意欲のない若者が増えている

男性の草食化が叫ばれる今の世の中ですが、「最近の若手ビジネスパーソンは出世を望まない人が増えている」なんて話をよく耳にします。

以前の記事「休めない会社はイヤ!仕事の休みが欲しい20代社員は甘えなのか?」で書きましたが、最近の若者は賃金よりも「休日数」を重視する傾向があるらしく、バリバリ働いてガツガツ稼ぐという90年代の価値観から、ほどほどに働いてプライベートを大事にしたいという「ワーク・ライフ・バランス」の価値観に移り変わっている様子はヒシヒシ感じるわけです。

で、実際に若者の出世意欲について調べてみると、まず厚労省の平成30年度「労働経済の分析」では、実に61%の社会人が「出世したくない」と答えています。思った以上だ。

さらに具体的に、”新社会人”を対象にアンケート調査した日本経済青年協議会の「新入社員 働くことの意識調査(平成30年)」では以下のような結果が。

<将来的にどのポストまで昇進したいか?>

出世したくない人の調査

どこまで出世したいか?

  • 社 長:10.3%
    (男性15.5%、女性3.3%)
  • 重 役:14.2%
    (男性21.3%、女性4.6%)
  • 部 長:16.3%
    (男性23.1%、女性7.1%)
  • 課 長: 6.3%
    (男性 6.7%、女性5.7%)

====出世の壁とする=====

  • 係 長: 2.0%
    (男性 1.6%、女性2.6%)
  • 主任班長:10.4%
    (男性4.0%、女性19.0%)
  • 専門職<スペシャリスト>:16.5%
    (男性12.7%、女性21.7%)
  • 役職にはつきたくない: 6.5%
    (男性1.9%、女性12.7%)
  • どうでもよい:17.4%
    (男性13.0%、女性23.1%)

「課長以上のポスト」まで昇進したい人は全体で47%ほど、仮に出世を「課長以上のポスト」と定義すると、新入社員の時点ですでに半数以上の人は出世したいとは思っていないという結果ですね。

この数字を高いと見るか低いと見るかですが、まぁ「普通はみんな出世したいよね?」という固定概念から入ると、実際は47%しかYESがいないのは確かに少ないように思えます。

 

”なんでこんなに出世したくない人が増えたんだろう?”

 

と思う人もいるでしょうが、実は今の日本企業をみるに「出世したくない」という考えは合理的にも思えるんですよね。

管理職はゴメン!昇進・出世したくないこれだけの理由

私も会社員時代に曲がりなりにもリーダーポジションを務めた経験があるので、中間管理職に出世したくない「合理的」な理由って結構わかるんですよね。いくつか挙げてみましょう。

1. 上司から責められ、部下から嫌われる板挟みポジション

何と言ってもコレ。上からは圧迫され、下からは突き上げられるというストレス圧死確定のポジション。それが中間管理職。

上司からは数字を詰められて常にストレスだし、下を見れば部下たちから愚痴をこぼされたり陰口を言われたりしてストレス。かといって責任ある立場なので逃げ出すことも許されない。

こっちは数字出さなきゃと必死なのに、部下たちは危機感も全然足らない上に業務から外れたところで下らない揉め事起こしたりしてて、そんなときはもう「あ”あ”あ”あ”ーーー!!!」と叫びたくなります。

でも、怒れない。強く当たれば嫌われて、陰口叩かれるから。

経験して分かりました。人に嫌われるのを恐る人は管理職向いてません。

 

2. 管理職は裁量労働!長時間労働でも残業代が出ない

管理職は裁量労働制!とか言って、課長ポスト以上には残業代を出さない企業がザラにあります。

裁量労働制(さいりょうろうどうせい)とは、労働時間を実労働時間ではなく、一定の時間とみなす制度のこと

次で書きますが、課長になったところで給料が劇的に上がるわけでもないですから、それでいて責任は増えるわ長時間労働でも残業代は出ないわとなると、リスクリターンが全然釣り合ってねぇ……!

私の同年代の友人(30代半ば)たちが続々と管理職になっていますが、話を聞くと、給料そんなに上がるわけじゃないのに(むしろ残業代考えたら平社員の方がいいのでは?レベルも)、完全にオーバーワークで家族と過ごす時間もないと泣いています。

なぜ?残業は減らないのに残業代は減るという惨状が起きる理由と対策

3. 責任は重いのに、日本の管理職ポストは給料そこまで高くない

実際に、社長が平社員の100倍の年収を取ってるような米国企業と比べて、日本企業は大企業でさえ役職についても金持ち(資産数億〜10億レベル)には中々なれません。

超個人的な感覚ですが、仮に30歳平社員で年収500万貰えているような一部上場企業だと、

  • 30歳平社員:年収500万
  • 35歳課長:年収800〜1200万
  • 40歳部長:年収1200〜1500万
  • 50歳役員:年収1500〜2000万

このくらいのイメージではないでしょうか?

平から課長に昇進したとして年収は1.5倍〜2倍アップくらい。この+300〜500万くらいを「責任の重さ」「上下からのしかかるストレス」「みなし残業まみれの長時間労働」と天秤にかけて、高いととるか安いととるか。

それは各々の価値観によりますが、「安い」「見合わない」と感じる人が増えているからこそ若手世代の出世欲が衰退しているのでしょう。

まぁ数字を見てわかる通り、日本はサラリーマンでいる以上はなかなか金持ちになる夢は見れません。一般論で言えば、サラリーマンでいる以上はどんなに心身削って働いても年収2000万あたりが限界です。

年収2000万だと、東京23区内で4人家族を養っていればイメージより全然贅沢な暮らしなんかできません。(累進課税で税率はね上がるので、手取り金額はごっそり減る)

それに比べて、アメリカの一流IT企業なんか社員全体の平均年収が2000万越えとか普通にありますからね。Netflixの社員平均年収なんか3500万らしいです。

参考給料が高いIT企業 TOP10(アメリカ編)

うーん、アメリカと比較するのはアレだけど、日本の役職には夢がない。

日本で金持ちドリーム掴む野心持ってるような人なら、最初から自分で事業を起こすか、あるいは外資に行ってると思います。そう考えると、日本企業サラリーマンという属性はそもそも金銭的な欲はそこまで高くない人たちかもしれません。

 

4. 人付き合いや接待がツラい

管理職になると、人付き合いや接待がめちゃくちゃ増えます。部下とのコミュニケーションももちろんですが、外部の人間との飲みニケーション、あと個人的に最悪なのがゴルフ接待ですね。上場企業クラスだと、課長以上になった途端にゴルフ接待の頻度めちゃくちゃ増えるんじゃないでしょうか。

こうした諸々の人付き合いが嫌で、管理職になりたくない人も多いですよね。

例えば私はIT企業で働いていましたが、周囲のプログラマー/エンジニアのような技術職の人たちは、人付き合いが苦手で一人パソコンに向かって黙々とコードを叩く方が性に合うという人も多かったです。こういう技術職の人は下手に出世したくない人が多いかもしれません。

 

5. 生涯「プレイヤー側」で仕事したい人もいる

プレイヤーとしての仕事が好き、プレイヤーとしてスキルを磨き続けたいから、マネージャー(管理職)には昇進したくないという人もいます。

これまた私のいたIT業界だと、プログラマー/エンジニア職の人には常に最新の技術に携わっていたいという気持ちから生涯プレイヤー気質の人も結構多くいました。もしやIT技術職の人は、一番出世を嫌う人種かもしれません(笑)。

出世をしたくないために転職する人も

管理職の責任を負ってまで仕事に人生捧げたくない。あるいは、プレイヤーとしてもっと第一線でスキルを磨ける環境で仕事したい。といった思いから、出世を避けて転職する人もいます。

仕事観は人それぞれですから、出世を避けるための転職は何もおかしいことではないです。

ただ、転職に際しては一つ気をつけるべきことがあります。

30代半ばにもなると、転職市場ではマネジメント経験が問われるようになります。企業もその年齢以上の人材は管理職ポジションで募集をかけることが多いので、30半ば以上で管理職ポスト拒否だとそもそも転職のイス自体が少なくなります。

端的に言うと、希望に見合う条件の良い転職先を見つけるのは難航するでしょう。うまいこと責任の少ないポジションに転職できたとしても、年齢からするに給料や待遇面の向上はそう簡単に望めません。

管理職ポストを避けて転職したい場合は、転職エージェント( リクルートエージェント などキャリアコンサルが付くところ)に相談しながら転職活動した方がいいです。

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昇進・出世しなかったデメリット(後悔)。万年平社員のツラさは後から効いてくる

出世したくないと思って昇進の道を自ら外れたとして、実際問題、それに対する後悔を感じている人も結構多いんですよね。こうした負の側面もしっかり理解しておく必要があります。

「年下の上司」に耐えられるか?

かつての部下だった年下社員が、自分の上司になることを想像してみましょう。年下の上司にちゃんと敬語を使い、指示を受け入れることができるだろうか?

頭では覚悟していても、実際にその状況になると感情的には複雑で難しいものです。つねにモヤモヤとした気持ちを抱えながら職場に居座ることになるかもしれません。

管理職になった同年代に対する劣等感に耐えられるか?

40歳を超えてくると、同年代はどんどん管理職が増えていきます。

例えば同年代の仲間と飲みにいった時、彼らがトークを交わす人事論やマネジメント論に全く入っていけません。会計のときには、彼らと年収が2倍近く違うことに劣等感を突きつけられるかもしれません。

あるいは取引先に行ったとき。名刺交換する同年代の相手は名刺にも立派な肩書きが入っています。対してあなたの名刺には役職がなく、恥ずかしさを感じるかもしれません。

後から後悔しても、出世コースには戻れない

出世コースを外れた後悔は、外れた直後ではなく、後々からジワジワと効いてきます。上司に年下が増え始めたとき、同年代の友人たちと経済格差を感じるようになったとき……。

しかし、そこで後悔に気づいたとしても、一度出世コースを外れてしまうと戻るのは非常に難しいです。後悔し始めた頃にはアラフォー。社内の出世は諦めて転職で再起を図ろうにも、前述のようにアラフォー人材の転職はマネジメント経験が問われるので、待遇アップどころかむしろ待遇ダウンとなるケースの方が可能性は高い。

「あの時、出世をしていれば今頃どうなってたかなぁ……」

と後悔している人も多数いることを、知っておいて損はありません。

 

まとめ

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が自己啓発本なんかでよく使われるようになりました。それだけ、仕事一辺倒ではなく、仕事とプライベートの両立を望む人が増えてきているのでしょう。

(まぁなんだか……労働や賃金に希望を持てなくなったという時代背景のせいもあるでしょうが……労働に疲れ果てているんだな。みんな)

あと、出世に向かう35歳くらいからは「仕事のやる気が出ない病」が世界共通であるらしいので、仕事にアツくなれない人が多いのかもしれませんね。

参考記事35歳からの「仕事やる気でない辞めたい病」は世界共通の悩みらしい。

いずれにせよ、このご時世、出世したくないという人は全く異端ではなく、むしろ半数以上は出世に興味ないので多数派であるということですね。何も恥じるようなことはありません。

 

 

【おまけ診断テスト】自分の「才能」に気づいていますか?

仕事ができるビジネスマンと出来ないビジネスマンの差は、意外と「自分の才能・資質を知っているかどうか」だけの差だったりします。

仕事ができる人ほど「自分が得意なこと」を仕事にし、仕事ができない人ほど「自分が好きなこと」を仕事にしようとします。

仕事が非常にできる2割の人間は、自分が得意なことを仕事にしている人。

仕事を普通にこなす6割の人間は、自分が得意なことを仕事にしていない人。

仕事ができない2割の人間は、自分が苦手なことを仕事にしている人

「好きなこと」と「得意なこと」は違います。残酷なほど違います。一流と三流を分ける海より深い隔たりがあります。

世界最高のサッカー選手であるリオネル・メッシは、FW(フォワード)というゴール前20m四方のエリア内でのみ世界最高の選手でいられます。彼は誰よりもディフェンスをしません。なぜか? その仕事場以外では平凡な選手だからです。

つまり「仕事ができる人間」とは、「得意な場所で、得意な仕事をしている人」なのです。

あなたは、自分の才能がどこに向いているのか把握していますか? 本当はドリブルやシュートが得意なのに、なぜかディフェンスポジションで仕事をしているせいで「仕事ができない人間」になっていませんか?

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