転職で資格なしはダメ?資格が有利なんて幻想を抱いている方がNGな理由

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私は会社員時代に採用担当をしていた経験があるのですが、「資格信者」を結構見かけることがありました。「資格信者」とは資格を50個も100個も取っている人ではなく、資格というものに対して異常に高い期待をしている人たちです。

こういう人たちの特徴として、「転職で有利にするために資格をとる」という何ともコスパの悪い行動を取りがちです。

まずはっきり言っておくと、転職市場において「資格」というのは期待はずれなほどパワーを持っていません

参考までに、転職支援サービス doda(デューダ) のデータを拝借すると、全求人案件のうち77%以上が「資格は問わない」と回答しています。

「資格必須」「あると良い」と回答が比較的多い職種は資格がないと業務ができないような専門職や技術系が高く、それ以外は「資格の有無は問わない」が圧倒的多数です。

これが実情です。

資格にもピンキリあるので一概には言えないですが、少なくとも「転職で有利にするために」という意気込みで取れてしまう程度の資格は、転職ではほとんど効力を持たないでしょう。

資格なしを不安に思う人も多いですが、むしろ採用側からすれば「資格持っていれば有利」と安直な考えに囚われている人の方が不安です。

みんなが求めがちな「資格」って実はそこまで重要ではないし、むしろ逆効果になることさえあります。

目次

実務経験のない分野の資格は意味がない

まず第一にですが、転職市場というのは基本的に「キャリア採用」であり、一番求められるのは即戦力性です。まだ20代半ばの若手(第二新卒)ならポテンシャル加味で評価されることも多いですが、キャリア採用では基本的に、

  • いま何ができるか?
  • いままで何をしてきたか?

この2点が評価軸です。一言で集約すれば「実務経験」というやつですね。

つまり転職市場で資格アピールするなら、実務経験をバックアップするためのものでなければなりません。自身のキャリアや専門性の補強を目的とした資格取得です。

医師や弁護士など業務上必要な「免許」にあたる資格を除いて、巷に溢れる資格というのは確かに「その分野について”知識”がある」という一定の証明にはなるのですが、それが”実務”として成果を出せるのかという証明にはなり得ません。

「知っている」だけで評価が貰えるのは新卒までです。

転職においては「知っている」だけでは足りず、それで「成果が出せる」ことが前提です。実務経験がないのに資格だけは持っていても意味がありません。

嫌われる資格|アピールがマイナス評価になることも

資格は「持っていて損はない」なんてこともありません。むしろ、マイナス評価になりかねない資格アピールもあります。

転職で嫌われる資格アピールというと下記のような例があります。

  • 実務経験を伴っていない資格
  • 保有資格がバラバラで一貫性がない(ただの資格マニア)
  • 大したことない資格
  • 取得時期が古すぎる資格(3年以上前)

実務経験が伴っていない資格

先述した通り、基本的に実務経験を伴わない資格はいくらアピールしても意味がありません。むしろ、「この人、資格さえあれば評価されると思っているタイプだ」と思われかねません。

保有資格がバラバラ

まれに資格欄に大量の資格を書いている人がいますが、一貫性のないバラバラな資格だと「ただの資格マニア」とみなされるのでマイナス評価になりかねません。

資格欄に書く以上はアピールと見なされ、面接で突っ込まれる可能性があります。「どんな目的で取得を?」と聞かれて明確に答えられないようでは印象が悪くなります。

資格マニアが悪いわけではありません。それが趣味という人もいます。しかし、転職でアピール材料にならないものは履歴書には書かない方がいいです。

大したことないレベルの資格

TOEICや英検、簿記などは資格欄に書かれやすい王道ですが、英検2級や簿記3級といったレベルでは正直書かない方がいいケースもあります。「これでアピールになると思ってんのか?」と思われる可能性もあります。

「得意です」というレベルのアピールは基本不要です。
「できます」と言い切れるアピールなら書いた方がいいでしょう。

TOEICに関して言えば、それなりに大きな企業だと「英語できます」として有効な判断材料になるのは900点前後レベルでしょう。800点以下だと「英語得意です」くらいのアピールにしかなりません。今どきは英語ペラペラな人材なんて溢れかえっています。

古すぎる資格

取得から随分時間が経過している資格をアピールするのも微妙です。取得から今までに実務経験が伴っていれば話は別ですが、例えば簿記や英語なんて日常で使っていないと一瞬で忘れていきます。

資格アピールするのであれば、2・3年以内に取得したものにしましょう。TOEICも3年以上も前のスコアになればアテになりません。

資格はキャリアの視野を狭めてしまうデメリットにもなりかねない

サンクコスト(埋没費用)」という言葉があります。

これは簡単にいうと「もうどうやっても戻ってこない費用や労力」のことで、この戻ってこないサンクコストを捨てる決心をせずそれ以上の行動を続けるべきではない……という教訓によく使われます。

例えば1800円払って観はじめた映画が超つまらなかったとき。本来ならば時間の無駄だからサッサと劇場を出るべきなのに、人はどうしても「でも1800円を払ったんだから……最後まで観なきゃもったいない」というサンクコスト(この場合はもう戻ってこない1800円)に縛られ、貴重な時間を無駄にしてまで観賞を続けてしまいます。

人は、それまでかけた費用や労力が無駄になることが許せない生き物です。そのため「頑張って取った資格」もサンクコストとしてその人のキャリアを縛りかねません。

「あれだけ頑張って取った資格なんだから」

と資格(サンクコスト)に固執して、その先のキャリアを自由に選べなくなってしまいます。より良い新たな道があったとしても、「せっかく取った資格が無駄になるのは嫌だから」という理由で新しい道も閉ざしてしまうんです。

例えば、公務員試験に落ち続けて30歳近くになっても諦めきれなくて勉強を続けている公務員浪人もその典型ですよね。本来であれば切り替えて民間に就職した方が良いとしても、「今まで費やした時間を無駄にしたくない」という一心で無謀な戦い辞めることができなくなります。

経済学では本来こうした場合、その時点でサンクコストを諦めて潔く撤退し、新しいスタートを切るのが正しいとされています。もう戻ってこないコストに縛られて、負け戦を続けるべきではないと。

下手に多大な労力をかけて資格を取ってしまうと、その先のキャリアパスがどうしても「資格ありき」になるので、視野を狭めてしまう可能性があることも理解しておいた方が良いですね。

参考までに、役に立つ資格トップ15

最後に参考までに、冒頭で紹介した転職支援サービス doda(デューダ) のアンケートから、需要のある資格ランキングから上位15個を抜粋してみました。

必須資格の1位はダントツトップで普通運転免許です。唯一誰しも取っておいた方がいい資格は車の免許ということです。これだけで十分。

それ以下は医療関連や建築・技術系など、業務上で必要となりそうな資格ばかりですね。

まとめ

個人的な意見ですが、資格というのは業務上必要なもの以外は取る必要ないんじゃないかとすら思っています。

業務上必要というと医師や弁護士などは当然として、例えば一級建築士資格を持っていないと業務上○○ができないとか、業界体質的に○級資格を持っていないと仕事が貰えない、団体に属せない……とか。

そういった、「持っていないと仕事上不利になる」性質の資格であれば取るべきだとは思いますが、そうでない資格なんてどうせ数年後には取ったことすら忘れてるレベルになるんじゃないかと。

その程度の資格ならいくら持っていても転職で有利になることなんてそうないですし、その時間と労力を自身のキャリアをバックアップするような成果や経験につなげた方がよほどコスパ良いですし、転職でも評価されるんじゃないでしょうか。

【おまけ診断テスト】自分の「才能」に気づいていますか?

仕事ができるビジネスマンと出来ないビジネスマンの差は、意外と「自分の才能・資質を知っているかどうか」だけの差だったりします。

仕事ができる人ほど「自分が得意なこと」を仕事にし、仕事ができない人ほど「自分が好きなこと」を仕事にしようとします。

仕事が非常にできる2割の人間は、自分が得意なことを仕事にしている人。

仕事を普通にこなす6割の人間は、自分が得意なことを仕事にしていない人。

仕事ができない2割の人間は、自分が苦手なことを仕事にしている人

「好きなこと」と「得意なこと」は違います。残酷なほど違います。一流と三流を分ける海より深い隔たりがあります。

世界最高のサッカー選手であるリオネル・メッシは、FW(フォワード)というゴール前20m四方のエリア内でのみ世界最高の選手でいられます。彼は誰よりもディフェンスをしません。なぜか? その仕事場以外では平凡な選手だからです。

つまり「仕事ができる人間」とは、「得意な場所で、得意な仕事をしている人」なのです。

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