南場智子(なんば ともこ)――1962年4月21日生まれ
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DeNAと言えば、現在のソーシャルアプリ会社3強の一角を担うメガベンチャー企業。
ゲームやオークション、エンタメはもちろん、今では野球球団でもおなじみ、自動車まで事業を多角化させていますね。
2015年9月に東洋経済オンラインが配信した「10年で飛躍!売上高が急増したトップ500社」では、上場企業約3600社の中で、堂々の1位を獲得。
直近決算の売上高1424億円に対する10年前比の売り上げ率は4862%!約49倍もの成長を遂げた、まさにここ最近の日本で1番勢いのある会社なのです。 (ちなみに、売上高は2013年3月期の2024億円がピークで、ここ2年は減少していますが・・・)
そのDeNAの創業者である南場智子さん。
カリスマ社長でありながら、2011年には病気療養中である夫の看病に専念するため、CEOを退任しました。
その後、代表権のない取締役を経て、2015年6月からは取締役会長に就任しています。
同年には横浜DeNAベイスターズのオーナーに就任し、日本プロ野球球団で初の女性オーナーとしても活動しています。
様々なメディアや著書などで、経営方針、事業展開について語っている南場さんですが、ここでは、2000億超えの会社を作り出した彼女の経歴を簡単にまとめてみました。
厳格すぎる父からの逃亡で、自我に目覚める
南場さんの父はガソリン卸会社の経営者で、かなりの厳格者。高校時代の南場さんはいつも門限を気にし、「女に教育など必要ない」という父の目を気にして家では勉強ができない環境・・・。父の要求には、絶対服従の「はい!」以外ありえない家庭だったのです。
負けず嫌いの南場さんは、テスト前には一夜漬けで集中して勉強し、学校では成績のよい生徒でした。このままでは、個性がつぶれてしまう、と考えた南場さんは地元・新潟から離れた大学への進学を決意します。
もちろん父に猛反対されましたが、初めて反抗し、「女子寮がある女子大」などの条件をクリアした津田塾大学英文学科へ何とか進学できました。
初めて実家から離れられた南場さんは、さらに遠い地へ行き、自由を得たいと願うようになります。
大学で成績が1番になれば奨学金でアメリカへ留学できる制度があり、猛勉強して1年間の留学を実現させます。またしても父に猛反対されましたが、アメリカからせっせと手紙を出しました。父からも返事が来るようになり、次第に親子の心の距離は埋まっていったようです。
帰国後、就職を考えた南場さんは、先輩が務めていた外資系コンサルティング会社に興味を持ち、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンに入社しました。
この時には、さすがの父ももう外の世界で頑張っている娘の姿を認め、「頑張んなさい」と応援してくれたとか。
マッキンゼーへ就職、でも、再び海外へ逃亡
「コンサルタントっておもしろそう」と社会人生活をスタートさせた南場さんですが、そもそも業界の専門用語が分からず、仕事に悪戦する日々。
深夜3、4時まで会社に居残ることが多く、入社2年目には心身ともに疲れてしまいました。
再び、海外へ留学したい思いが募りますが、会社には留学制度はなく・・・。
そこで会社を辞め、ハーバード・ビジネス・スクールに入学します。この2年間は最高のリフレッシュになり、南場さんは思いきり羽を伸ばしたそうですが、才女だけあって遊びつつもきちんとMBAを取得しました。
卒業後の進路を考えた時、このままアメリカへ残る道も考えつつ、辞めてしまった日本のマッキンゼーがどうしても気になり、帰国後、再び職場復帰します。
職場復帰で、ピンチをチャンスに!!
ところが、復帰してみるとやはり辛い職場・・・と大後悔する羽目に。本気で転職活動を始めた時、ある大きなプロジェクトを任されました。
どうせこの職場には長くいない、と腹をくくった南場さんは、プライドを捨て「私はアホです」的な実力のなさをメンバーに伝え、チームに助けを求めました。
すると、思いがけず団結力が高まり、仕事がやりやすくなったのです。結果として、クライアントにも喜んでもらえ、プロジェクトは成功しました。
後に、起業しCEOになった南場さんはこの時の経験をよく口にし、社員たちにも伝えています。
「成功体験でしか、人は変われないし、成長できない」
自信をつけた南場さんは次々とプロジェクトを成功させ、34歳の時、日本人女性としては歴代3人目となるパートナー(共同経営者)に抜擢されました。
そんな中、南場さんは机上の企画だけでなく、「実際の現場で商売をしたい!」との思いが強くなっていきます。
そして、目をつけたのがマルチメディア系新規事業のリサーチで関わっていたITビジネスでした。南場さんは職場の仲間を誘い、会社から独立する道を選んだのです。
36歳でDeNAを起業。スタート時はお先真っ暗状態
1999年3月、南場さんは僅かな人数の仲間(3人or5人説あり)と株式会社DeNAを起業し、代表取締役に就任しました。
当時、日本ではまだネット・オークションが普及しておらず、「これが来る!」と確信します。
オークションサイト「ビッダーズ」を企画し、ソネットやリクルートの出資も取りつけましたが、運営準備がうまくいかず、開始時期が延期に・・・。
その間に、最大のライバルとなる「Yahoo!オークション」が本格始動してしまいました。
さらに、開始1ヵ月前には、外部のシステム会社に任せていたプログラムがまさかの白紙!というピンチに陥ります。
「ユーザーが出品できないシステムはあり得ない!でもこれ以上延期すれば投資家や出資起業の信頼を完全に失う!!」 早くも最大のピンチを迎えた南場さん。
システムが整うまで、ユーザーに変わって自分たちが商品をかき集め、出品するという苦肉の策で、何とかサイトをスタートさせたのです。
広告収入があるヤフーと異なり、手数料だけが儲けになるDeNA。顧客獲得のため、それも無料化し、広告宣伝に大金をかけたため、赤字が10億円まで膨らんだ年も・・・。
結局4年間は赤字経営が続きました。
勝ち組への鍵は、モバイルへの本格シフト
その後もヤフーに追いつけず、「ビッターズ」はオークションからショッピングサイトへ転換しました。
2003年、DeNAはついに黒字化を果たしますが、負けず嫌いの南場さんは考え続けます。
「No.1になるにはどうすればいいのか?」 そこで、これからの時代を見据え、DeNAが選んだのが「モバイルへのシフト」でした。ここからDeNAの快進撃が始まります。
2004年に開始された携帯電話向けオークションサイト「モバオク」と、モバイル広告ネットワーク「ポケットアフェリエイト」が大ヒットし、国内最大級のモバイルサイトへと成長を遂げていきます。
(ちなみに、モバオクやポケットアフィリエイト、そしてモバゲーを生み出した天才プログラマについては、こちらの記事「モバゲーは一人の天才が作った!?天才プログラマ川崎修平<DeNACTO>の経歴がスゴすぎない?」も面白いです)
敢えてユーザーの流入が見込める既存のPCサービスと連携せず、モバイル市場にゼロから挑み、3ヵ月でシステムを完成させた“本気度”が勝ち組へと繋がったのです。
DeNAは2005年2月に東証マザーズに上場し、6月にはモバオクの分社化も行いました。
さらに、2006年2月には、今や会社の代名詞とも言える、ゲーム&SNS「モバゲータウン」の提供を開始します。これが学生を中心に爆発的ヒットとなり、約1年ちょっとで会員数が500万人を突破!
いち早く成果報酬型広告モデルを導入&確立させ、翌年、DeNAは東証一部上場を果たしました。
その後、アプリ開発だけでなく、他社開発のゲームソフト参入、自社アプリを他社のプラットフォームに投入するなど、思い切ったオープン化戦略に出ます。
他社とのゲーム競合という短期的視点ではなく、マーケットの拡大を優先させたのです。
と、ここまで大まかな会社データを並べてみましたが、南場さん自身も2003年以降、内閣IT戦略本部員や「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2007」の1位に選出されるなど、もはや日本を代表するCEOとして押すに押されぬ存在になっていったのです。
ヒットを生み出すDeNAの社風とは?
あるWebインタビューで、南場さんは新規事業を始める時のルールをこう話しています。
たった3つの質問に対して全てYESと答えられるかどうかだけなんです。
①成功した時に十分に大きなインパクトを残せるか? ②DeNAが勝てる市場か? ③やりたくてたまらないことか?
そして、南場さんがよく口にする言葉は 「会社はピラミッド型組織に例えられますが、当社は球体です」。
つまり、上下のヒエラルキーがなく、社員全員が球体の表面積を担い、隠れる人は1人もいない、という意味。(「球の表面積」など、5つのDeNAクオリティはこちら)
新卒社員が南場さんの1日付き人になり、会合にも参加できる制度や、南場家に社員を招く「オープン・ハウス」など、南場さんのユニークな試みが社内でも好評だったようです。
そして、DeNAでは「時間を要する企画会議での紙より、とにかくモノだ!」と「エンジニア主体」を重視。“盗む”っておもしろそう、というエンジニアの声が元になったソーャルゲーム『怪盗ロワイヤル』など、ヒット作を世に送り出しています。
年功序列ではなく実力主義の会社だからこそ、誰もがアイディアを出せる環境作りに力を入れたのです。 (南場さんの特集番組はこちら)
夫の看病のためCEOを退任、そして復帰
大企業へと成長を遂げたDeNAですが、2011年、南場さんは夫のガン告知を受けて看病に専念することを決意します。
「世界一を目指す会社だからこそ、CEOが家族優先であってはいけない」という思いがあったからです。
そして、元々2012年には後を任せたいと思っていた取締役の守安功さん(「モバゲー」の発案者でもある)を推薦し、CEOを退任しました。
今まではとにかく仕事優先、食事は100%外食だった南場さん。社会人になって以来、初めてというぐらい家族の存在とライフスタイルを見直す時間ができたようです。
昔は苦手だった父が、病気になった母に17年間付き添い献身的に看護をしたという事ももしかしたら、南場さんに大きな影響を与えていたのかもしれませんね。(アンケートの尊敬する人では、「父」と答えています)
幸い夫の病状は回復傾向に向かい、2年間の闘病生活を経て、南場さんはフルタイム勤務に戻りました。これらの経験から、社員の仕事と家庭・両立支援に一層目が向くようになったと言います。
「日本人は人に迷惑をかけるなと言われて育ちます。でも、(略)迷惑結構。迷惑歓迎。堂々と会社や仲間に迷惑をかけてほしい」 (インタビュー詳細はこちら)
DeNAのこれから
急成長を遂げたソーシャルゲーム市場。だからこそ、常に変革が求められ、近年は早くもダウンロード数の伸びに陰りが見え始めていますが・・・。
現CEOの守安さんは「ソーシャルゲームとは心中しない」と宣言し、自動車産業へも参入、住やアパレル系も積極的に買収し、子会社化を進めています。
そして、南場さんは2014年から新事業に挑戦。夫との闘病生活の経験を活かし、子会社DeNAライフサイエンスから、自宅でできる遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を開始させています。
海外で続々と現地法人を設立し、まさに「グローバルNo.1」を目指すDeNA。 2016年年明けには、技術系に特化した初の「DeNA Technology Conference」開催を控え、世界のリーディングカンパニーになれるのか、これからどんな新規事業を展開するのか?
創業時、「失敗のフルコースを味わった」南場さんの第2幕が始まります。
【おまけ診断テスト】自分の「才能」に気づいていますか?
仕事ができるビジネスマンと出来ないビジネスマンの差は、意外と「自分の才能・資質を知っているかどうか」だけの差だったりします。
仕事ができる人ほど「自分が得意なこと」を仕事にし、仕事ができない人ほど「自分が好きなこと」を仕事にしようとします。
仕事が非常にできる2割の人間は、自分が得意なことを仕事にしている人。
仕事を普通にこなす6割の人間は、自分が得意なことを仕事にしていない人。
仕事ができない2割の人間は、自分が苦手なことを仕事にしている人。
「好きなこと」と「得意なこと」は違います。残酷なほど違います。一流と三流を分ける海より深い隔たりがあります。
世界最高のサッカー選手であるリオネル・メッシは、FW(フォワード)というゴール前20m四方のエリア内でのみ世界最高の選手でいられます。彼は誰よりもディフェンスをしません。なぜか? その仕事場以外では平凡な選手だからです。
つまり「仕事ができる人間」とは、「得意な場所で、得意な仕事をしている人」なのです。
あなたは、自分の才能がどこに向いているのか把握していますか? 本当はドリブルやシュートが得意なのに、なぜかディフェンスポジションで仕事をしているせいで「仕事ができない人間」になっていませんか?
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