川崎修平(かわさき しゅうへい)/1975年生まれ
今や星の数ほど乱立したIT企業の中でも、3強の一角に入るであろう株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)。
1999年に外資コンサル会社マッキンゼーから独立した南場智子さんによって創設され、モバゲーやモバオクなどのサービスにより一躍トップ企業へと成長を果たしました。
そんなDeNAという会社には、業界では有名な話があります。
それは、「モバゲーはたった一人の天才プログラマが作った」という逸話です。
さらに話はモバゲーだけではありません。 モバゲーに加え、「ポケットアフィリエイト」、そして「モバオク」 今日のDeNAというメガベンチャーの礎となったサービスは、全て「彼」によって開発されました。
今回紹介するのは、CEOではなく、DeNAのCTO(最高技術責任者)である川崎修平さん。 ぶっちゃけ川崎さんがいなかったら今のDeNAはなかったと言っても過言ではない、凄腕のプログラマーです。
大学在学中に個人で「オークファン」を開発し、DeNAにスカウトされる
『オークファン』というオークションサイトをご存知でしょうか?
株式会社オークファンが運営するサイトで、様々なオークション、ショッピングの商品及び価格情報の比較・検索・分析が出来るWEBサービスです。
2013年にはマザーズ上場を果たしている株式会社オークファンですが、 実はこの「オークファン」というサイトを作ったのは、当時東京大学の大学院生だった川崎さんなのです。
小学校4年生の時に父親の影響でプログラミングを始めたという川崎さんは、ゲーム好きのオタク学生で、将来の夢はゲームを作るひとでした。
プログラミングの腕を活かしてアルバイトをしていた川崎さんは、当時ネットオークションが流行っていたことを受けてあるサービスを考案し、自宅にて一人で開発に取り組みました。
「オークション統計ページ(仮)」(現オークファン)という、ネットオークションの様々なデータの比較が出来るサイトでした。(以下名称はオークファンに統一)
この時期にネットオークションが盛り上がりを見せていたのは、南場さんが立ち上げたDeNAのスタート事業「ビッダーズ」と、Yahooの「Yahooオークション」が、ネットオークションの覇権をかけて熾烈なバトルを繰り広げていたからでした。
川崎さんが作ったオークファンは、まさにこの両陣営の熾烈なオークション戦争を比較分析するためのサイトだったのです。 ビッダーズとヤフオク間のユーザーや出品者の流れなどをロボットで解析していたオークファンは、非常に便利で優れたサイトでした。
当時、ネットオークションビジネスでDeNAを立ち上げた南場さん率いるビッダーズチームは、ライバルのヤフオクとの戦況を分析するために、この「一般人」が作ったオークファンを参考にしていたのです。
結果的にこのネットオークション戦争はヤフオクに軍配が上がったわけですが、 DeNAはこのオークファンというサイトのあまりの使いやすさに感激し、サイト管理人のスカウトに乗り出しました。
川崎さんの話によると、ある日いきなりDeNAの守安氏(現社長で創業メンバーの一人)から「素晴らしいサイトですね。一度会って話しましょう」と謎の怪しいメールが来たそうです。笑
その後、DeNA側の誘いのままにアルバイトとしてDeNAで活躍することになります。
この後、DeNAでの仕事が忙しくなりすぎたために、川崎さんは自身が作った「オークファン」を譲渡しました。つまり、川崎さんのサイトを受け継いでいるのが、現在の株式会社オークファンです。
モバオク、ポケットアフィリエイト、モバゲーと次々にヒットを連発!
2ヶ月で作ったモバオク
バイトとして入社後、いきなり「今度、携帯でオークションサイトを作ろうと思うんだけど、一人で出来る? どれくらいかかる?」と問われた川崎さん。
実はオークファンを作った時から、本当はオークションサイト自体を作りたかったものの個人運営では信頼性の問題から出来ずにいたという川崎さんは、これはチャンスだと踏んでDeNAでその望みを叶えることにしました。
そうして川崎さんが生み出したのが、「モバオク」でした。
「好きに作らせてくれるなら」という条件で作ったモバオクの制作期間は、わずか2ヶ月でした。
そんなモバオクは、今ではヤフオク、楽天オークションと並ぶ、日本最大級のオークションサイトとなっています。
ちなみに、この後大学院の卒業に伴い、川崎さんは正式にDeNAに入社しました。
ポケットアフィリエイトを2週間で開発
モバオクの3ヶ月後、今度は昼飯時に「今度はうちでアフィリエイトやろうか」という話になった川崎さん。
「え、マジっすか?(笑) アリっすかそれ?(笑) え、なら自分作ってきますよ(笑)」 と、初期DeNAのヒットサービスとなった「ポケットアフィリエイト」を2週間で開発。
モバゲー(モバゲータウン)は家に引きこもって3ヶ月で作りました
そしてDeNAの礎ともなった大ヒットSNS「モバゲー」は、制作期間は3ヶ月程度、サービス開始当初の開発メンバーは川崎さんを含めて2人だけでした。
モノを作る時は家に引きこもるという川崎さん。 「じゃ、作ってくるんで!」と会社を離れて引きこもり生活(開発生活)に入ること3ヶ月。
2006年2月に産声をあげたモバゲーは、半年後には会員数が140万人を突破し、月間PV(ページビュー)は31億PVに達するモンスター級の大ヒットサービスとなりました。
リリースした時の心境を、当時社長であった南場さんは自身の著書『不格好経営』にて、 「成功を確信するのに、数時間もかからなかった」 と語っています。
取締役になっても「管理」はしないぜ。だって俺は「現場」の人間だからよ
その有り余るほどの実績を評価され、現在は取締役CTO(最高技術責任者)に昇格している川崎さんですが、実際にはプロダクトのマネージメント業務がメインで、あまりCTOらしい管理職の仕事はしていないといいます。
もとより(踊る大捜査線の青島のような)現場タイプの人間である川崎さんは、取締役の打診を受けた時も、「管理業務はしないぜ。俺は現場の人間だからよ(口調は不明)」と言ってのけたそうです。
開発中は家に引きこもり、午後ティーのみで過ごす
サービスが開発段階に入ると、会社には行かずに家に引きこもって作業するという川崎さん。
やる気がイマイチ出てこないうちは漫画とか読みながらグダグダしているそうですが、いざ集中すると2徹、3徹も辞さない勢いで一気に作り上げるといいます。
しかも驚くべきはその食生活で、プログラミングの『リズムが崩れる』という(よく分からない)理由から、開発中は基本的に固形物を口にしないと言い、食事らしい食事は午後の紅茶ミルクティーですますそうです(よく分からない)。
なんでも大好物だという午後の紅茶ミルクティーを箱買いして常にキープしていて、紅茶は目が覚めるし、糖分が頭に効くし、ミルクは健康的だから、という(よく分からない)言い分でミルクティー中毒者となっている模様です。
まとめ
パソコン一台で、プログラミングの腕一本でここまで世の中に影響を与えられるようになった現代。川崎さんほどの例は確かに希有なものですが、個人で作ったサービスが多くの注目を集めることはもはや珍しくありません。
DeNA創業者である南場智子さんは、「クリエイターに対して非常にコンプレックスを持っている」と自身で語っていますが、それほどWEBプログラマー・クリエイターが今の世に生み出せるものの価値は大きくなっています。
これから就職を考えている方、将来に不安を持っている方、 生涯仕事に困らないためのスキルは、どんな資格や免許でもなく、プログラミング技術かもしれません。
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仕事を普通にこなす6割の人間は、自分が得意なことを仕事にしていない人。
仕事ができない2割の人間は、自分が苦手なことを仕事にしている人。
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