漫画の未来を変える作家エージェント<コルク代表>佐渡島庸平の経歴書

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佐渡島庸平(さどじま ようへい)/1979年生まれ
photo by : https://cakes.mu/

『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』などのヒット作を世に送り出してきた漫画編集者・佐渡島庸平さん。

東大を卒業後、新卒で講談社に入社してから約10年の間サラリーマン編集者として漫画と向き合ってきましたが、2012年に講談社から独立し、作家エージェント事業として『株式会社コルク』を設立しました。

現在は編集者兼経営者として出版業界の新しいビジネスモデルを追求しています。

今では出版業界は斜陽産業の代名詞とも言われます。それでも講談社といえば業界最大手でありブランドも給与水準も文句なしの職場だったと思いますが、なぜ佐渡島さんはその安定から離れて起業の道へ踏み切ったのかーー?

佐渡島さんの簡単な経歴から本に対する想い、出版業界の未来についてなどをまとめてみました。

目次

就職活動をする気はなく、企業研究もしていなかった就活期

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灘高校から東京大学英文科へと、日本の最高学歴を歩んできた佐渡島さん。 幼いころから本が大好きだったようで、東大を選んだ理由も、東大の教授であった柴田元幸氏(アメリカ文学研究者、翻訳家、エッセイスト)の授業を受けたいという理由からでした。

しかし大学に入学してから2年ほどは大学生活に面白さを感じることができず、ほとんどを家庭教師のアルバイトとレストランの調理のバイトをして過ごすなど、ごく一般的な大学生と同じくダラダラとした生活を送っていました。

そして就職の時期、大学院へ行って文学の研究をしたいと考えていた佐渡島さんですが、父親から大学院の学費を出す条件として「就職活動を経験すること」と言い渡されました。

そのため、就職試験は落ちていいやと思った佐渡島さんは、最低限の就職活動に留めました。入社してもいいと思えるところ以外は受けないと思って出版社しか受けなかったし、全部落ちてもいいと思って企業研究のようなことはしなかったといいます。

その後結局、大学院にも講談社にも受かってしまったという佐渡島さん(スゴい!) どちらの進路を選ぼうか迷っていた際に、大学の先生から「文系の大学院なんか意味ないぞ」と講談社の道を勧められ、最終的に講談社に入社することになりました。

 

入社1年目から、井上雄彦、安野モヨコ、三田紀房を担当!?

起業

講談社に入社後、モーニングという漫画雑誌に配属された佐渡島さんがまず担当したのが、『バガボンド』の井上雄彦先生に、『働きマン』の安野モヨコ先生でした。

入社していきなり大作家の仕事を目の当たりに出来たことで、“100万部売れる作家”がどんな人なのかを知ることができたという佐渡島さん。そうした経験があったから、後に新人だった小山宙哉さんに同じ素質を感じ、宇宙兄弟をヒットさせる要因に繋がったといいます。

 

ドラゴン桜は佐渡島さんの東大経験から生まれた?

コメント

入社1年目に、自身の企画として「ドラゴン桜」を立ち上げた佐渡島さん。当初、三田先生(ドラゴン桜作者)が第二次世界大戦をテーマにした漫画を書くということで、資料集めが上手いとして佐渡島さんが編集に携わりましたが、その企画が通りませんでした。

その後別の企画を考えていた時に、三田先生が提示したのが「東大に100人通す学園もの」というプロットでした。コレに対し、東大出身者の佐渡島さんは「東大に入るのなんて、甲子園に行くより簡単だから売れませんよ」と答えました。

そんな小さなきっかけから、「東大はバカでも入れる」というドラゴン桜のプロトタイプが生まれてきました。

ちなみに、ドラゴン桜の4巻くらいまでに出てくる勉強法は、実際に佐渡島さんが実践していた勉強法がもとになっているようです。

独立の決め手は、ホリエモンのアドバイス

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「ドラゴン桜」「宇宙兄弟」とヒットさせて実績を積み重ねた頃には、講談社でもある程度自由に仕事が出来るだけのポジションについていました。

大きな経験と大きな裁量、そして確かな実力をものにしていた佐渡島さんは、時代の変化を見据えて出版業界の未来を切り開く新たなビジネスの構想やアイディアを様々考えていました。

しかし、とはいえ身分は平サラリーマン。100年の歴史のうえに築き上げれた「出版界」という頑強すぎるビジネスモデルに対して簡単にメスを入れられるワケがありません。

「このアイディアがあれば莫大な富が流れるかもしれないのに……」

しかし、「変化」を嫌う出版業界という堅物は、何をするにも安定第一で慎重に慎重に行こうとします。 それだったら、講談社の事業案よりも自分のやりたいことをやりたいし優先したい、佐渡島さんはそう考えるようになりました。

決め手となったのは、同じ東大出身であるホリエモンこと堀江貴文さんからのアドバイスでした。

当時は、宇宙兄弟の実写映画化の仕事が一段落してようやく休みが取れたときでした。 佐渡島さんは、想定よりも宇宙兄弟が売れなかったことを受けて、本が簡単に売れなくなった、時代の変化をはっきりと感じました。

そんな時に思い出したのが、以前に堀江貴文さんから受けた以下の言葉でした。

「今までは雑誌や本がたくさん出ていたから、白紙を埋めるために編集者が作家のもとに依頼に行った。今後はWebを含めて有象無象、作家が増えて、編集者より多くなる。だから、作家が優秀な編集者に編集してくれと依頼に来るようになる。つまり、作家エージェントの時代がやってくるから、早く辞めて、そうしたほうがいい」

このアドバイスを受けた当時は、講談社での仕事や給与面も含めて満足していたため聞き流していたそうですが、このときこの言葉を思い出したおかげで、「辞める」という選択肢に向き合えたそうです。

 

インターネット上に新しい波を

「出版業界のビジネスモデルを更新する」という大きな課題を追求する上で、インターネットの世界を無視することはできません。

ネットという世界を考えるとき、佐渡島さんは様々なインタビューでネットを道路に例えてお話をされますが、その例えから出版の未来の可能性に至る説明が非常に分かりやすいので、引用して載せておきます。

インターネットができたとき、それを現実世界に置き換えると、道ができたような感じだったと思います。

道ができて車が走り始めたら渋滞してしまった。 それでYahoo!がカテゴリー検索を、道で言う信号を作りました。信号はできたけれど、また渋滞が起きてしまった。そこにGoogleが現れて、検索でどこへでも行けるようになり、高速道路が作られたようなものです。

ネット空間で検索ができるだけの状態をリアルの地図で考えると、単に高速道路があって、何となく人が溜まる場所だけがある状態。そこに、新宿駅や成田空港のような人が集まる良い場所を作ったのが、TwitterでありFacebookです。 そして、それらを拠点にいろいろなビジネスが行われるようになりました。

ネット上で行われているAmazonや楽天のようなビジネスは、リアルのネット空間への置き換えです。リアルの置き換えではない、ネットならではのサービスはまだ始まっていないと僕は考えています。

ディズニーランドが生まれて、はじめて本当のテーマパークというものが出現しました。それと同じように、ネット上で、ディズニーランドのような画期的なエンターテインメントのための場所ができてもおかしくないと僕は予想しています。

Youtubeをエンターテインメントだと言う人がいるかもしれませんが、これはテレビを置き換えて便利にしただけです。Kindleも本を便利にしただけ。ディズニーはテーマパークという形で面白さの可能性を広げましたが、インターネット上で面白さの可能性を本当に広げた人は世界中でまだゼロなんです。

「私の哲学」インタビューより抜粋

その面白いものを”コルク”のクリエイターが作り、そこからディズニーランド的なものがインターネット上に生まれることは十分に可能であると佐渡島さんは考えています。

 

まとめ

「いいものを作っても売れない」という時代の大きな変革期に差し掛かっているコンテンツ業界。 クールジャパンと銘打っていくら盛り上げようと、出版業界は縮小していくし、アニメ会社が破産するニュースも飛び交っています。

しかし、メディアこそなくなれど、コンテンツそのものが消えてなくなることはないでしょう。

問題は「コンテンツの在り方・消費のされ方」が未来どのように変化していくのかであって、その答えを誰もが模索している状況です。そして佐渡島さんもその一人でしょう。

音楽コンテンツはiTunesなどのITによって配信されるようになり、劇的にビジネスモデルが変化しました。しかし、その舵を切ってプラットフォームになったのは音楽業界ではないIT企業でした。

その結果、コンテンツホルダーであるミュージシャンや音楽関係者の立場からして十分満足できる仕組みになっているとは言えないでしょう。

その例を見ても、今後出版業界のビジネスモデルが変化するとき、その中心にコルクがいるためにはITを学ぶことが必要不可欠だと佐渡島さんは語ります。

コルクのような会社がプラットフォームに立てれば、より作家の立場に近いモデルを構築することが可能になります。

なにはともあれ、出版業界が早急な変化を求められることはもはや間違いないでしょう。 その”変化のタネ”が何なのか、また誰が見つけるのか、それは神のみぞ知るところですが、 出来ることなら佐渡島さんのような先駆者が、日本発として生み出してもらいたいと願うところです。

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