SNSからモンストまで、波瀾万丈な業績を辿るmixi創業者・笠原健治の経歴書

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笠原健治(かさはら けんじ)/1975年12月6日
photo by : http://ascii.jp/

2006年頃から2010年前にかけて日本で大ブームを引き起こした日本国内最大のSNS『mixi』。

2010年代のFacebook上陸によりユーザーを大きく奪われ、長らく苦しい時期が続いていましたが、 大大大ヒット御礼となったソーシャルゲーム『モンスターストライク』のおかげで大幅な黒字に転換し、奇跡のような復活を遂げています。

mixiの産みの親である笠原健治さんは、元ライブドアの堀江貴文さんや2ちゃんねるのひろゆきさんなどと同じ、俗にいう『76世代(76年前後に生まれたネット起業家)』の起業家で、東京大学在学中に起業しています。

今回はそんなミクシィの起業前夜から、その波瀾万丈な業績の歩みをまとめてみました。

目次

大学時代、独学でプログラミングやデザインを覚え求人サイトを立ち上げる

プログラミング

少年時代、歴史小説が大好きだったという笠原さんは、漠然とながら「日本全体に関わる仕事がしたい」という思いを抱いていました。

名門校である大阪府立北野高等学校を卒業したあとは、官僚を志して東京大学文科二類に入学します。

しかし、ちょうどその頃世間では「官僚汚職問題」が取り沙汰されており、次第に官僚に対する憧れを失いはじめていた笠原が運命的に出会ったのが、インターネットビジネスでした。

きっかけは在籍していたゼミでした。

様々な業界のケーススタディをしていく中で、AppleのスティーブジョブズやMicrosoftのビルゲイツが、自分とさほど年齢の変わらない時に起業して大成功を収めている事実に衝撃を受けたのです。

「こんなにエキサイティングな世界があったのか・・・」

大学2〜3年の間、将来やりたいことも打ち込めることも見いだせずに悶々とした日々を過ごしていた笠原さんは、突き動かされるようにインターネットの世界にのめり込み、独学でWEBプログラミングやWEBデザインの勉強に没頭します。

そして、97年に笠原さんは「Find Job!」という求人サイトを一人で開設しました。

大量の求人情報から自分の好きな職種や勤務地、給与などを瞬時に絞って検索が出来るサイトとして、掲載していた企業からも好評価を受け、笠原さんは自分の事業に自信を持つ事ができました。

 

会社を設立し、ホリエモンと共同でオークションサイトを作る

商談 大学を卒業する頃、当時はまだインターネット関連の企業は少なかったことから、 「なら自分で作ってしまおう」と笠原さんは起業を決意し、1999年に有限会社イー・マーキュリー(現ミクシィ)を設立しました。

そして、同じ東京大学出身で起業家だった株式会社オンザエッジのホリエモンこと堀江貴文さんと共同で、『eHammmer』というオークションサイトを立ち上げます。

しかし結果としてこのオークションサイトは、当時一人勝ちしていたYahooオークションの前に無惨にも敗れ去り、わずか2年で運営権を売却することとなりました。

SNSと言えばmixiでしょ! 日本最大のSNSが誕生。

オークションサイトで敗北を喫したあと、2004年に誕生した次なるサービスが「mixi(ミクシィ)」でした。

「mix(交流)」と「i(人)」を組み合わせることで利用者同士の交流を願ったこのサービスは、日本国内では最も早く展開したSNSでした。 同時期にサービスを開始した田中良和さんのGREEに追随を許さぬほど圧倒的多数の会員を獲得し、日本のSNS業界を牽引することになるmixi。

当時は「SNS = mixi」と認識されていたほど、SNS市場を独占する人気ぶりでした。
2006年には商号を株式会社イー・マーキュリーから株式会社ミクシィへ変更し、同年9月に東証マザーズへ上場を果たしました。

株式上場した笠原さんは、2008年には米経済誌「フォーブス」(アジア版)が発表した「日本の富豪」40人の37位にランクインしました。これは2005年に40位に入ったライブドアの堀江貴文元社長と同じ最年少の32歳で記録です。

その総資産は7億4千万ドル(当時の換算で約850億円)と言われ、計り知れない成功を収めました。

まさにこの世の春を謳歌していたmixi。

しかし、mixiの天下はそう長くは続きませんでした。

そう・・・「ヤツ」が日本へやってきたのです。

 

Facebook「来たよー☆」

レビュー

 

2008年、アメリカから最強の刺客『Facebook』が日本へ上陸してきました。

mixiが採用していた「匿名性」というこれまでのSNSの常識を翻し、「実名制」という安心感を旗に掲げたFacebookは瞬く間にmixiユーザーを根こそぎ奪い取り、mixiは窮地に立たされてしまいました。

絶対的強者Facebookの上陸に伴い、mixiと同業者であったGREEやDeNAはいち早く事業モデルの軸を広告収入(SNS)から課金ビジネス(ソーシャルゲーム)に移し、そちらで急成長を遂げる事ができました。

しかし株式会社ミクシィは、(産みの親である笠原さんの愛ゆえか)mixiに見切りをつけられず、広告を収入源とした業績は低迷を続けることになりました。

 

(やっぱあかん・・・)ミクシィ、ついにソーシャルゲーム界へ進出!!

やっぱダメでした。 2011年、ミクシィは事業を大きく転換し、mixi上にミクシィゲームを新設してソーシャルゲーム界への参入を図りました。

急ピッチでビジネスモデルを広告収入から課金収入へ変換しましたが、やはりソーシャルゲームに出遅れたことが響き、グリーやDeNAとは大きな格差ができてしまっていました。

2012年にはSNSとしてのmixiはみるみるユーザー離れが進み、大学生のmixi利用率はなんと2%にまで落ちてしまいました。

54cac0708c8ea345a649a7e0aedadc41 (出典:media.looops.net

 

神の子「モンスターストライク」爆誕!!

ゲーム市場に参加するも、回復の兆しが1ミリも見えずにいたミクシィでしたが、 2013年、ついに救世主メシアが誕生しました。

ひっぱりハンティングRPGこと、『モンスターストライク』殿下です。

2013年のリリース当初こそまだ見通しは暗く、会社としても16億の赤字に転落する予想でしたが、 テレビCMなどをフル活用した積極的なプロモーション活動が功を奏し、あれよあれよという間に利用者は爆発的増加を見せ、翌年2014年には会員数は5000人を突破してしまいました。

去年まで赤字転落のお通夜状態だった会社が、たった一本のソーシャルゲームで大逆転満塁ホームランを打ったのです。

ちなみに、モンストによるサヨナラホームランを決めたmixiの売上グラフがこちら。(モンスト様は2013年10月リリース) 18452221465551aad6ce9110011   グラフ作るの下手かな? 誰かちゃんとパワポ教えた? 笑ってはいけません。これが現実です。

 

現在は社長を退き、会長へ

nile / Pixabay

笠原さんは2013年の低迷期に社長職を退き、代表権のない会長へと椅子を移りました。

現在は、2015年4月にリリースされた家族向け写真・動画共有アプリ『家族アルバム 見てね』の開発リーダーを務めているそうです。

プライベートでお子さんが生まれたことがアイディアの源だったという同アプリ。無料・無制限で子供の写真や動画を投稿し、招待した家族だけで楽しむことが可能で、家族でコミュニケーションを取れるコメント機能や、アップロードした動画を1秒ごとにつなげる「1秒動画」という機能もあるそうです。

社長を退き、開発の現場へ降りてきた笠原さん。 学生の頃から様々なサービスを立ち上げてきた経験から、やはり経営よりもサービス開発が性に合っていたのでしょうか。

「生涯プロデューサーであり続けて、常に新しい仕掛けを考える人生でありたい」

そう語る笠原さんが新たに提供する『家族アルバム 見てね』は、今後10年20年と人々から愛用されるアプリになりそうです。

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