佐野陽光(さの あきみつ)/1973年
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月刊ユーザー数は5000万人を越え、投稿されたレシピ数はゆうに200万件以上。 日本中の女性・主婦にとってもはやなくてはならない生活必需品となりつつある日本最大のお料理レシピコミュニティサイト『クックパッド』。
サイト内では自分の料理レシピを投稿したり、または他者の考案したレシピを実用した料理を写真付きで公開したりすることができ、もちろん投稿された様々なレシピを探す事も出来る。
そのレシピの充実ぶりは圧巻で、「肉じゃが」と検索しただけで2000件以上の結果が並び、さらに「圧力鍋」など、素材以外の要素で自分のイメージに近いレシピを探すことが出来る機能も、ユーザビリティを徹底しているクックパッド自社開発の検索エンジンの賜物です。
そうして毎日の料理を楽しく・有意義なものにしてくれるクックパッドは、主婦を中心に絶大な人気を誇っています。
そんな、現在では超巨大サイトとなったクックパッドは、1997年、神奈川県藤沢市のアパートの一室で、当時25歳だった佐野陽光さんによって生み出されました。
食の大切さに気づいたきっかけは、長期の海外生活
少年時代の佐野さんは、建設会社勤めの父親の転勤で、シンガポールに8年、その後ロサンゼルスで4年を過ごし、ロサンゼルスの高校を卒業しています。
そんな少年時代に長期の海外暮らしにおける不自由・不規則な食生活を送ったことが、「食の大切さ」に関心を持つきっかけになったようです。
高校を卒業して帰国後は慶応大学SFCに入学した佐野さんは、電気自動車作りに励んでいたそうで、コンピューターや機械について造詣が深かったようです。
というのも、お父さんが機械好きだったとあって、小学校の頃からコンピューターを買ってもらっていたり、アメリカでの高校生活では頭脳明晰な同級生とソーラーカー作りに挑戦したりしていたそうです。
そんな、学生時代から優秀さを垣間見せる佐野さんですが、卒業後はなんと就職をせず、同年の10月にクックパッドの前進となる「有限会社コイン」をいきなり設立しました。
起業した理由は「餓死するリスク」がないから
あるパネルディスカッションの場で、佐野さんは、就職せずにいきなり起業に踏み切った理由を、こう仰っています。
僕、なんで起業したかっていうと、大学卒業した時にわかった。「どうしようかな?」と思った時に、まず死なないってことがわかったんですよ。餓死するってことが多分ない。
あと新聞見ても、餓死したって出てこない。自殺のほうが多いみたい。リスクはそっちじゃない。餓死することがリスクじゃない。だから考えてみたら、リスクないんですよね。
つまり佐野さんは、「日本に生まれたからには飢え死にはしない。そしてそんな国に生まれた幸運を使わない手はない」という究極のポジティブ思考のもと、就職ではなく起業という道を選択しました。
佐野さんは笑いながら仰っていますが、事実この選択はそう容易に出来るものではないでしょう。
特に周囲との同調意識の強い日本人学生は8割以上が周りと一緒に企業に就職するわけで、就活に失敗しただけで死を選んでしまう人間もいるほどです。
また佐野さんは、「お金の保証がなくなる怖さという自分の“弱い部分”を、会社に預けてしまうと辞められなくなる」と仰っていますが、これも事実で、「いつかは起業したい」と考えているor考えていたサラリーマンのほとんどは、結局起業することはありません。
佐野さんのこの発言から察するに、もし佐野さんが大学卒業後に就職していたら、結局起業することはなく、クックパッドは生まれていなかったかもしれません。
毎日の料理を楽しみにすることで笑顔を増やす
起業するに際して、どんな事業で勝負しようかと悩みに悩んだ佐野さんは、「毎日の生活の中で料理が楽しみになれば、心からの笑顔が増える」という事実に気付き、料理をテーマにすることに決めました。 それには、自身が長期の海外生活で経験した不安定な食生活が深く影響していたそうです。
そうして走り出したクックパッドですが、創業当社は当然オフィスもなく、広告の効率的な打ち方も分からずに売上もほとんどない状態だったと言います。
しかし、ユーザーと広告主がWIN-WINの関係になれる方法は何かと模索し続けた結果、ユーザーからレシピの投稿を募り、レシピコンテストを企画する事で、スポンサーを募るようにしました。
広告主とユーザーが近い距離にある商品を持っているサービスは他になかったため、「これは売れるのではないか」という手応えを得たそうです。
その後、法人事業と会員事業の二本柱で軌道に乗ったクックパッドは、2009年に東証マザーズに上場、2011年には東証一部に市場を変更し、名実共に日本を代表する巨大サイトへと変貌しました。
「毎日の料理を楽しみに」を世界へ
クックパッド創業者である佐野さんは、2012年に社長職を退き、取締役兼執行役としてグローバル戦略の陣頭指揮をとっています。世界戦略と技術開発に集中したいという意向からの社長退任でした。(後任には元カカクコム社長の穐田誉輝取締役が就任しました)。
佐野さん陣頭指揮をもとに、クックパッドは2014年から世界展開を本格化していて、既に英語、スペイン語、インドネシア語、アラビア語と各言語圏でのサービスを開始しています。
「食」という、国籍も人種も関係なく、全人類の根源的な欲求に根ざしたテーマを追求しているクックパッドは、世界で愛用される日本初のITサービスになるかもしれませんね。
2016.1/20追記 クックパッド創業者が経営方針に批判か
2016年の1月16日、クックパッド創業者で筆頭株主でもある佐野さん(現在は取締役)が、同社の取締役刷新を求める株主提案をしたことがニュースになりました。
現社長の穐田誉輝氏が率いる経営体制に「歪みが出ている」として批判しているようです。
具体的に、佐野さんはクックパッドの現状について以下のようにコメントしています。
「基幹事業である会員事業や高い成長性が見込まれる海外事業に経営資源を割かず、料理から離れた事業に注力するなど、中長期的な企業価値向上に不可欠な一貫した経営ビジョンに大きな歪みが出てきている」
創業者と現経営者の間にビジョンの対立が生まれることは、なにも珍しいことではありません。
クックパッドの産みの親である佐野さんにとって、我が子同然のサービスが、他の人の手によって形を変えていくのは辛いはず。
「料理で世界を笑顔にする」という志で創業したはずのクックパッドが、いつしか料理に関係ない事業に姿を変わっていくなんて堪え難いでしょう。
ニュースによると佐野さんは、自分が社長に戻ること、そして面白法人カヤックCEOの柳澤大輔氏を新たな取締役に選任するよう求めているようです。
社内の内紛がどのような影響をもたらすかはまだわかりません。今後のクックパッドの動向に注目が集まるところです。
【おまけ診断テスト】自分の「才能」に気づいていますか?
仕事ができるビジネスマンと出来ないビジネスマンの差は、意外と「自分の才能・資質を知っているかどうか」だけの差だったりします。
仕事ができる人ほど「自分が得意なこと」を仕事にし、仕事ができない人ほど「自分が好きなこと」を仕事にしようとします。
仕事が非常にできる2割の人間は、自分が得意なことを仕事にしている人。
仕事を普通にこなす6割の人間は、自分が得意なことを仕事にしていない人。
仕事ができない2割の人間は、自分が苦手なことを仕事にしている人。
「好きなこと」と「得意なこと」は違います。残酷なほど違います。一流と三流を分ける海より深い隔たりがあります。
世界最高のサッカー選手であるリオネル・メッシは、FW(フォワード)というゴール前20m四方のエリア内でのみ世界最高の選手でいられます。彼は誰よりもディフェンスをしません。なぜか? その仕事場以外では平凡な選手だからです。
つまり「仕事ができる人間」とは、「得意な場所で、得意な仕事をしている人」なのです。
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