安田隆夫(やすだ たかお)/1949年生まれ
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深夜まで長時間営業している総合ディスカウントストアと言えば、誰でもお世話になったことがあるだろう「ドンキホーテ」です。
ドンキホーテ特有の、隙間なく商品を並べたジャングル状態の店内は「圧縮陳列法」と呼ばれ、お客に買いたいものを探す「宝探し」的な要素を踏まえており、深夜営業と合わせて同業他社との差別化に成功しました。
現在では、トイレットペーパーからシャネルまで4〜5万商品が店内に並び、その売上高は6000億円を超えています。
さて、ドンキホーテ自体は知らないよという人はあまりいないと思うので割愛しますが、 面白いのは、ドンキホーテを創業した安田隆夫さん(現・代表取締役会長)です。
安田さんは、就職した会社の倒産、麻雀三昧のプー太郎生活、一人で雑貨店の開業、からのドンキホーテ開店と、凄まじい浮き沈みを経た興味深い起業道を歩んできました。
新卒で入った会社の倒産・・・フリーターへ・・・
大学は慶応大学法学部という優秀コースへと進学することが出来た安田さん。
しかし、大学生のキャンパスライフに馴染めなかった安田さんは、大学よりもボクシングジムに通う日々を送っていました。 本気でプロになりたいと頑張っていたそうですが、子どもの頃に事故で左目の視力を失っていたせいでプロテストが受けられずに挫折することに・・・。
大学を卒業してからは、小さな不動産会社に就職します。しかし、当時のオイルショックのせいで、せっかく入った会社もすぐさま倒産してしまいました。 その後、フリーターとしてプー太郎生活になった安田さんは、毎日毎日、麻雀に明け暮れては朝帰りという、自堕落な日々を送り続けたそうです。
そしてついには所持金が残り5円となり安田さんは、ゴミ箱から拾った新聞の求人欄を広げ、日雇いとして新聞の営業の仕事につきました。
そのときすでに安田さんは20代も終わりに近づいており、周囲の一般的な家族の姿を横目に、「このままの人生ではまずい」とようやく真剣に考えるようになりました。
29歳で小さな雑貨店を開業
「このままではダメだ。なんとか、真っ当な世界で独立しなければ・・・!」 と心に誓った安田さんですが、いざ何かを始めようにも、なにか専門知識があるわけでも、なにか資格があるわけでもなく、人間性もコミュニケーション能力も人脈も、何もありませんでした。
そこで考えたのが「雑貨店」です。
雑貨なら専門知識もいらないし、生活品であれば安ければ売れるだろうと考えました。ついでに言うなれば、近所の質屋でオヤジ一人が店番しているのを見て、「この程度ならオレでもできんだろ」と思ったそうです。
そして、1978年に東京・杉並にて日用雑貨等の処分品を扱う安売り店を開業しました。安田さん29歳での開業です。たった20坪の店の名前は「泥棒市場」。激安と掘り出し物を売りにしたネーミングでした。
成功のきっかけは、お客さんの「ある勘違い」から
こうして小さな雑貨店を開業した安田さんでしたが、当然上手くいくはずはありません。お客さんがまったく来ない日が続き、開業3ヶ月目にして早くも夜逃げ寸前にまで追い込まれたそうです。
当然、倉庫を借りるような余裕がないため、仕入れてしまった商品は全て20坪の店内に押し込むしかありません。 売れない商品の段ボールが天井まで積み上がってしまう状態でしたが、それでも段ボールの口を開け、中の商品にPOPを貼っていくなどして最大限の工夫を図りました。
これが、ドンキホーテの「圧縮陳列」の起源です。
さて、そんな夜逃げ寸前であった安田さんを救ったのは、お客さんの「ある勘違い」でした。
それは、ある夜のことです。 安田さんはその日も、閉店後に夜遅くまで、一人寂しく室内を埋め尽くす勢いの商品の整理・陳列作業に明け暮れていました。すると、閉店しているのに気づかないお客さんが店に入ってきてしまったのです。
もちろん店内の電気もつけっぱなしで、店のシャッターは入り口まで積み重なった商品のせいで閉められなかったので、「営業中」と勘違いされても無理はありません。せっかく来てくれたお客さんなのだからと、安田さんは閉店しているにも関わらず、喜んで商品を売りました。
結果、コレが当たったのです。
当時は、「セブンイレブン」の名の通り、コンビニですら夜の11時で閉まってしまう時代でした。そんな中にあって、深夜まで明かりをつけて作業していた安田さんの店には、「深夜なのに開いている」と勘違いしたお客さんたちが続々と訪れるようになったのです。
「深夜の時間帯に買い物需要がある」という事実に気づいた安田さんは、積極的に深夜営業を続けていきます。すると次第にその評判が口コミで広がり、いつしか夜逃げ寸前だった店の売上は、2億円に上るまでに劇的な成長を遂げたのです。
商品の特殊な「圧縮陳列」。そして常識はずれな「深夜営業」。 それらが、今に繋がるドンキホーテスタイルを生んだのでした。
常識はずれで唯一無二の、ドンキホーテを開店
1988年、東京・府中にドン・キホーテ第一号店が開店されました。
もちろん、常識破りの深夜営業です。商品の陳列もそれまで常識とされていた「見やすく」「取りやすく」「買いやすく」を真っ向から打ち破り、今ではおなじみのジャングル迷宮スタイルです。
当時は大手のチェーンストアが圧倒的に幅を利かせていたので、資本も人材もないドンキホーテは真っ向勝負では勝てる要素がただの1ミリ足りともありませんでした。 だから、全てにおいて「逆をつくしかなかった」のです。
常識を疑い、徹底的に逆を行こうと安田さんは考えたのです。 こうして自由かつ大胆すぎる発想をしたおかげで、従来の市場を打ち破り、新たなマーケットを開拓することができたのでした。
まとめ
今では「安売りの帝王」の名を持つ安田さんですが、65歳を機に引退を発表しました。
子ども時代から「波瀾万丈な人生を歩みたい」と母親に言っては呆れられていたそうですが、その誓いに恥じない、とてつもなく波瀾万丈な起業人生だったようです。
後進が引き継いだドンキホーテは、高級住宅地の白金台に「プラチナドン・キホーテ」をオープンし、松阪肉専門店「朝日屋」が出店するなど、また従来の「安売り」の常識を打ち破る、新たな挑戦を続けているようです。
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仕事が非常にできる2割の人間は、自分が得意なことを仕事にしている人。
仕事を普通にこなす6割の人間は、自分が得意なことを仕事にしていない人。
仕事ができない2割の人間は、自分が苦手なことを仕事にしている人。
「好きなこと」と「得意なこと」は違います。残酷なほど違います。一流と三流を分ける海より深い隔たりがあります。
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つまり「仕事ができる人間」とは、「得意な場所で、得意な仕事をしている人」なのです。
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