45歳〜50代対象!早期退職者募集を行った企業・退職金の割増額まとめ

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リストラの”優しい言い方”とも言える「早期退職者募集」を行う企業が増えてきました。

2019年上半期までに早期退職者を募った上場企業は16社。2018年は年間で12社だったのでペースは年々増えています。年齢条件では「45歳以上」が最多です。

このような早期退職制度は、定年より早く(自らの意思で)退職する代わりに、退職金にプラスして割増金(再就職支援金という名目含む)を上乗せでもらえます。

なので人によっては悪い話ではないどころか美味しい話であるケースもあり、募集人数を超える応募が集まっている企業もザラにあります。

そこでこの記事では、直近の2018年〜2019年にかけて早期退職者募集を行った大手企業の情報をまとめました。また、あくまで推定ですが退職金の割増額も計算してみたので一つ参考にしてみてください。

「一人当たりの退職金の割増額」は、企業が退職金加算費用として計上した数値を応募人数で割るという非常にざっくりとした計算で出しただけのアバウトな金額なのであしからず。

目次

富士通(2019年3月)

  • 45歳以上の社員を対象
  • グループ全体で2850人超えが早期退職に応募
  • 1人あたりの割増退職金+再就職支援費用=1600万円程度(?)

2018年10月にグループで5千人規模の配置転換を実施する方針を打ち出した富士通。早期退職には2850人を超える応募が集まり、これで年間200億円にのぼる人件費削減を狙っています。

割増退職金+再就職支援金で461億円を計上しているので、単純に2850人で割ると一人当たり1600万円くらいの割増額でしょうか。さすが大手といった手厚さを感じますね。

Amazonのクラウド事業が世界で急激にシェアを伸ばしていることが、かなり痛手の模様……。

 

カシオ計算機(2019年2月)

  • 勤続10年以上、45歳以上の一般職社員と、50歳以上の管理職、約200人が対象
  • 156名の応募者あり
  • 1人あたりの割増退職金+再就職支援費用=1700万弱?

Gショックで有名なカシオ計算機も、創業以来初となる早期退職社募集を2月に実施。200名という想定を下回る156名の応募がありました。

退職金用の特別損失26億円を計上しているので、156人で割ると1人あたり1700万弱くらいの割増退職金がもらえた計算になるのかな? あくまで予想です。

カシオは「Gショック」に続くヒット作を出せておらず、全体売上の半分以上を占める腕時計事業が伸び悩み。デジカメ事業に乗り出すも、スマホカメラの急激な進化によってデジカメ市場自体が縮小し始めて、コンシューマ向けデジカメは事業撤退とうまくいかず。

連結売上高は2008年リーマンショック前のピーク時から約半分程度まで落ちています。Gショック依存が限界にきている感じですかね……。

 

東芝(2018年11月)

東芝

  • 45歳以上の社員を対象に1060人を募集
  • グループ全体で823人の応募
  • 1人あたりの割増退職金+再就職支援費用=970万円程度(?)

東芝は、東芝エネルギーシステムズ(ESS)および東芝デジタルソリューションズ(TDSL)を対象に早期退職を実施し、823人の応募あり。退職金加算額の費用は80億円としているので、単純に823人で割ると一人あたり約970万円程度の割増額になります。

さらに、子会社の「東芝デバイス&ストレージ」において、新たに約350人早期退職募集を実施すること決定しています。

 

日本電気(NEC)(2018年6月)

NEC

  • グループ会社で間接部門やハードウエア領域の特定部門に在籍している45歳以上かつ勤続5年以上の従業員を対象に3000人募集
  • 2170人を超える応募者あり
  • 1人あたりの割増退職金+再就職支援費用=660万程度?

NECはなかなか厳しいですね。過去には2001年度に4千人、2002年度に2千人、2012年度にも2400人を希望退職制度などで削減しており、売上規模はピークだった2002年から半分程度に落ちています。

ハードウェア部門が削れていますが、グローバル競争で海外勢にシェアを奪われているのが痛い模様……。

ちなみに、割増退職金や再就職支援にかかる費用として約200億円を計上しているので、単純に募集人数3000人で割ると一人あたり660万程度の割増額になる計算。

毎日新聞(2019年7月)

毎日新聞

  • 50歳〜60歳未満の社員を対象に200人削減予定
  • 1人あたりの割増退職金=基準賃金の20ヶ月分/最高1500万円

さすがに斜陽産業の代表格と言える新聞は、この運命には抗えないでしょう。部数でいうとピーク時の426万部(1979年)から、2018年は274万部にまで減少しています。

毎日新聞は社員数2100万人のうち、約4割が50代以上というオッサン企業。しかも50代以上の社員の半数以上が部長職以上に就いているという超年功序列です。年々発行部数は減ってきているのに、社員はどんどん高給取りオジさんが増えていくので経営的に苦しいのは当然と言えば当然。

早期退職の対象者の多くは記者職を含む編集部門とのことです。

 

フジテレビ(2018年2月)

 

フジテレビ

  • 50歳以上の社員が対象
  • 50人以上の応募
  • 1人あたりの割増退職金+再就職支援費用=7000万円!?

フジテレビが早期退職を募ったのは、絶不調で営業赤字に陥った2017年〜2018年始めごろ。驚くことに割増退職金で7000万円上乗せというネットニュースで騒がれたのは記憶に新しいです。

もし本当なら割増分と合わせて合計1億円を超える退職金をもらえる人も多いはずで、もともと平均年収も1500万くらいある企業なので50歳で1億円もらって辞めても悠々自適なリタイアライフが送れるでしょうね(羨ましい)。

(ただ、テレビ局とか広告代理店は付き合いが派手だったり見栄やステータスのために高級志向の人が多いので、高い給料もらっても全部使いまくって貯金や資産は全然ないという人がビックリするくらい多い)

フジテレビは総社員数約1300人のうち、50代社員が400人弱を占めます。しかもテレビ局は慣習の古いゴリゴリの年功序列なので、大した仕事しないのに年収1500万以上もらうおっさん社員が沢山おり、会社としてはかなりの「お荷物」が蓄積していたことは想像に難しくありませんね……。

 

昭文社(2018年12月)

昭文社

  • 45歳以上の従業員80人が対象
  • 96名の応募者あり
  • 1人あたり約430万円の割増退職金+再就職支援費用

全国各地の道路地図「スーパーマップル」、旅行ガイドブックの「まっぷる」などで知られる昭文社。

地図やガイドブックコンテンツが事業のかなめですが、地図も今や紙からアプリなど電子時代へと移行しており、さらに電子の方でもGoogleマップを始めとする無料アプリに対抗できずに業績悪化しています。

一方でライバルのゼンリンは、Googleマップなど無料アプリにデータを提供しており好業績が続いていましたが、こちらもGoogleとの契約解除が騒がれて雲行きが怪しくなってきております……。

昭文社は退職金加算費用もろもろの特別損失を4億1200万ほど計上しており、単純に96名で割ると一人当たり430万ほどの割増額になる計算です。

 

大正製薬ホールディングス(2018年8月)

大正製薬

  • 40歳以上、10年以上勤務の従業員3000人が対象
  • 948名の応募者あり
  • 1人あたり約1290万円の割増退職金+再就職支援費用

「リポビタンD」や「パブロン(風邪薬)」で知られる大手製薬会社の大正製薬が大量の人員削減に踏み切ったことも大きなニュースになりました。早期退職募集は1912年の創業以来初のこと。

3000人対象で948人応募なので、すでに1/3が手を挙げたことになります。これはグループ従業員全体で見ても15%にあたる数ですね。かなり大体な改革と言えます。

大正製薬は利益額でいうと2000年あたりがピーク。そこから2018年までにピークから半減くらいに落ちていますが、逆に従業員数は2000年から増え続けているという反比例の状況なので、人員削減は当然と言えば当然……。

 

エーザイ(2018年10月)

エーザイ

  • 45歳以上で勤続5年以上の社員を対象に100人募集
  • 300名の応募者あり
  • 1人あたり約2200万円の割増退職金+再就職支援費用

エーザイは抗がん剤「レンビマ」などの牽引で業績自体は堅調であり、新卒や中途採用は拡大していることから、早期退職募集の狙いは主に「社員の若返り」のようですね。認知症薬など次世代を担う製品の研究開発の強化に若い人材を充てるのでしょうか。

300人の応募に対して割増退職金で約66億円を特別損失として計上しているので、単純計算すると一人当たり約2200万の割増額ということに。製薬会社は退職金が高額と言われますが、さすがの数字です。

100名募集に対して3倍の300人が応募したことからも、2000万レベルの割増はかなり好条件に映ったんでしょう。

 

鳥居薬品(2019年5月)

鳥居薬品

  • 満2年以上勤務のコーポレート部門・営業部門社員、50歳以上の技術部門社員を対象
  • 281名の応募者あり
  • 1人あたり約1450万円の割増退職金+再就職支援費用

売上高の1/3を占める抗HIV薬6製品の国内販売権を導入元の米ギリアド・サイエンシズ社に返還したことから収益悪化を見込み、大幅な人員整理に踏み切った鳥居薬品。

今回の早期退職者に加え、契約社員や定年後再雇用社員の整理もして、総社員数を1200人→800人に、MR職を500人→300人に削減する見込み。

割増退職金+再就職支援金として約41億円を特別損失に計上しており、281名で単純計算すると一人当たり約1450万円の割増額になります。

 

アステラス製薬(2019年3月)

  • 入社5年以上の社員を対象に600人を募集
  • 700人の応募者あり

2014年にも400人規模のリストラ(早期退職募集)を行なったアステラス製薬。2018年には業績悪化に伴い最大規模の600人目処で早期退職を募りました。実際の応募は700人となり100人多く集まった模様です。

退職金加算金の額がちょっと見つからなかったので、一人当たりの退職金割増額はちょっと不明です。製薬会社は概ね1000万〜2000万くらいのイメージでしょうか。

 

協和発酵キリン(2019年2月)

  • 45歳以上かつ勤続5年以上の社員1600人を対象
  • 296名の応募者あり
  • 1人あたり約1720万円の割増退職金+再就職支援費用

早期退職募集を行うのは今回が初となる協和発酵キリン。製薬会社はどこも国内市場が厳しく、協和発酵キリンも海外事業の売上比率を2020年までに50%まで強化すべく人材の選択と集中を行なうのが目的。

協和発酵キリンは全社員の約40%が45歳以上と高齢化が進んでおり、今のままではグローバルに戦っていけないと踏んで人材の新陳代謝を促すためにリストラに踏み切ったのでしょう。

今回、退職金加算金などで約51億円を計上しているため、単純に296人で割ると一人当たり約1720万円ほどの割増額になる計算。

日本ハム(2018年10月)

日本ハム

  • 45歳以上の社員を対象に200人募集

日本ハムは全社員の1割にあたる200人を上限に早期退職を募集。理由として50歳前後の社員比率が非常に高く偏っており、人材の配置が難しくなったことが理由のようです。まさにバブル入社組がお荷物になってしまった状態ですね。

実際の応募人数や退職金の加算額など数字がちょっと見つからなかったので不明です。

 

コカ・コーラボトラーズ(2019年2月)

  • 45歳以上の社員700人が対象
  • 950名の応募者あり
  • 1人あたり約915〜1250万円(?)の割増退職金+再就職支援費用

コカコーラボトラーズ社は、人手不足による物流コスト高騰により利益の確保が困難に。人件費を50億円削るべく45歳以上の社員を対象に早期退職希望を募集しました。

700人募集のところ950人を超える応募者が集まったとのこと。特別退職加算金、再就職支援費用の総額として87億円を計上しているので、950人で単純に割ると一人あたり915万円程度、募集人数の700人に絞っていたとしたら一人当たり1250万弱の割増額の計算ですかね。

4月からペットボトルのコカコーラが27年ぶりに値上げされたことでも話題になりましたね。

 

アルペン(2019年1月)

アルペン

  • 45歳以上〜64歳未満の社員300人が対象
  • 355名の応募者あり
  • 1人あたり約590万円(?)の割増退職金+再就職支援費用

スポーツ用品店のアルペンも、2018年には上場以来初の赤字に落ち込み、約300人のリストラを敢行しました。

業績悪化の原因として、長期要因には少子化によるアウトドア系の部活動部員が減少しはじめていること、そしてネットショップの台頭により値下げ競争などが挙げられます。さらに短期要因として2018年は、販売ピーク期である夏場に猛暑や豪雨、台風などの自然災害が重なったことで、レジャー関連用品の需要低下も重なりました。

退職金加算費用として21億円を特別損失で計上しているので、単純に355人で割ると一人当たり590万円程度の割増額になります。

 

千趣会(2018年10月)

  • 45歳以上の正社員・契約社員280人を募集
  • 212名の応募者あり
  • 1人あたり約566万円の割増退職金+再就職支援費用

通販サービス「ベルメゾン」を運営するカタログ通販大手の千趣会は、ネット通販のグローバル競争激化によって100億円規模の赤字に転落しており、全社員を対象に280人の早期退職募集に踏み切りました。さらに大阪本社を売却し、社長も引責辞任しています。

業績悪化の原因は、ひとえにカタログ通販 → EC化(IT化)が遅れたこと。Amazonやメルカリ・ユニクロなどが台頭して、消費者の買い物行動がネットに急速に移行していく時代についていけなかったことが要因ですね。

退職金加算費用として約12億円を計上しているので、単純に212名で割ると一人当たり約566万円の割増額になります。

日産自動車(2022年完了見込み)

日産自動車

  • 2022年までに世界で1万2500人を削減予定
  • 退職金の割増は一人当たり1000万円程度か(?)

カルロスゴーン前社長の件でゴタゴタが続いていた日産自動車ですが、業績の方はというと……4-6月期の営業利益が前年同期の9割減という衝撃的な数字がニュースになりました。えぇ、急速に業績悪化しています。

主力市場である米国での販売不振が要因となっており、5月には業績立て直しに向けて世界で4800人の人員削減をする方針を公式に発表していました。が、7月になり人員削減規模が世界で1万人超えになる見通しとのニュースが流れています。

1万人超えのリストラ!と聞くと凄まじそうですが、日産は連結ベースで従業員14万人くらいいるので仮に1万2000人程度を削減しても1割程度。この記事で紹介した他の企業と比較しても驚く割合ではありません。

2022年までの長期計画なので、現時点での正確な人数や退職金の加算額は不明です。

ただ、5月時点の4800人削減の発表では早期退職関連費用で470億円程度の発生を見込んでいるとされていたので、単純計算だと1人あたり1000万円程度の割増金を用意するスタンスなのでは?と推定します。

 

銀行|3大メガバンク

  • みずほ銀行:2026年までに1万9000人削減と発表
  • 三井住友:2020年までに4000人程度の業務量削減
  • 三菱UFJ:2023年までに9500人分の業務量削減

金融緩和やマイナス金利、さらに少子高齢化および人口減少などを諸々の要因により、銀行というビジネスはもう昔ほど高収益ビジネスではなくなりました。

バブル期こそ「椅子に座ってるだけで儲かる」を体現するほど”ボロい商売”でしたが、そのときに調子よく大量採用したバブル入社組(団塊の世代)が現在歳をとり、年功序列によって高給取りになって経営を圧迫する爆弾になったわけですね。

このバブル大量採用の団塊の世代は今後数年で自然と退職していくので、新卒採用の数をコントロールしながら数年かけて全体で社員数を減らしていく……という方針のようです。

 

【最後に】早期退職した”その後”は?

さて最後に、早期退職の「その後」の話です。

人生100年時代がきている今、多くの人にとって50歳やそこらで早期退職して退職金割増でもらって完全リタイアするのはやや危険です。少なくとも、億単位の退職金がもらえるような一部のエリートを除いては。

本当に100歳近くまで生きるとすれば、50歳なんてまだ前半戦が終了した地点ですからね。年金の支給開始年齢だってどんどん遅れるかもしれないし、50歳やそこらから無収入になるのはリスク高すぎです。

ということで一番良いかつ王道なケースは「セミリタイア」です。具体的に言うと、退職金をガッツリもらって退職してから、ゆったり働ける企業に再就職することです。

中年会社員 サラリーマン

再就職といっても、今までのように第一線でガツガツ働く必要はありません(働いてもいいですが)。なんなら正社員じゃなくたっていいかもしれません。ゆったりと働ける中小企業やベンチャーに再就職して、マイペースに働きながら余暇の時間で趣味を始める。そんな「セミリタイア」生活が理想です。

再就職ではもちろん年収は下がるでしょうが、退職金を割増で十分に貰っていれば妥協点を探れます。

そして幸いにも、労働人口の少子高齢化の波によって40代〜50代の転職成功率はここ数年で明確に増加しています。ということは下記記事で書きました↓

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もちろん20代30代の転職市場と比べるわけにはいきませんが、それでも今までは「35歳以上は転職限界説」なんて言われていたのに比べたら、シニアの転職に時代の追い風が上手く吹いていることには間違いありません。

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