2015年10月にマイナンバーの通知がはじまりました。
会社を法人化して事業をされている方は、法人番号というものがあり、誰でもホームページ上で検索できるようになっています。
参考;http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
個人で事業をしているフリーランスの方はどうなのでしょう。事業をしているのだから、個人事業番号が公表されているのでしょうか。
答えは、「いいえ」。
個人事業番号というものはなく、マイナンバーが必要な時には、住民票のある全ての個人一人一人に、通知カードに通知されている個人番号を使用します。事業をしているからといっても、個人事業の場合は、ホームページ上でマイナンバーが公表されることはなく、通常の個人番号と取扱いが一緒です。
個人事業を行っていると、マイナンバーが必要になってくる場合がいくつかあるので、通知カードはしっかりと保管しておきましょう。
通知カードを使用する場合は、身分証明書とセットとなります。申請することで、通知カードは、個人番号カードと交換してもらうことができ、個人番号カードには個人の写真がついているため、 個人番号カード自体が身分証明書となります。そのため、必要なときには個人番号カードのみを使用すれば良く便利です。また、各種行政手続きをオンライン申請するときに、個人番号カードを利用できますし、住民票や印鑑登録などの公的な証明書がコンビニで取得できるなどのメリットもあります。
通知カードを個人番号カードに交換する申請は、通知カードが送付されてきたときに一緒に送付されてきた返信用封筒を郵送するか、スマホからも簡単に申請することができます。
個人事業をしていて、マイナンバーはいつ必要になる?
確定申告
個人事業と切っても切り離せないのが確定申告。この確定申告にも、マイナンバーが必要となります。
確定申告にマイナンバーが必要になるのは、平成28年度分の確定申告を平成29年3月15日までにするときです。平成27年分の確定申告書には個人番号を記載する必要はありません。
報酬の支払いを受ける場合
フリーランスでよくあるケースとして、外注、つまりアウトソーシングの仕事を受注し、報酬の支払いを受ける場合です。
たとえば、原稿料、講演料、デザイン料などの報酬の支払いを受ける際に所得税の源泉徴収が発生する場合です。どんな場合に所得税の源泉徴収が発生するかは、国税庁のホームページに細かく掲載されています。
報酬の支払いをする事業者は、税務署に提出する「支払調書」という書類を作成する必要がある時に、報酬を支払った相手方のマイナンバーを記載することになります。
このために、仕事を請け負うフリーランスに対して、マイナンバーの利用目的を提示して、マイナンバーを確認することになります。この場合には、報酬を受け取るフリーランスは、マイナンバーを相手方に通知しなければなりません。
報酬を支払う場合
逆に、報酬を支払う場合に支払調書の作成が必要になる場合があります。支払調書が必要な場合とは、報酬を支払ったときに所得税の源泉徴収をして、所得税を前払いしている場合です。
個人で事業を行うときに、人を雇っていない場合には、源泉徴収義務もないため、支払調書を発行する必要はありません。源泉徴収義務者にあてはまる場合には、支払調書を発行する必要があります。
源泉徴収義務者というと難しい言葉ではありますが、簡単にいうと、人を雇って給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合 が源泉徴収義務者にあたります。
国税庁のホームページに、どんな人が源泉徴収義務者であるかが詳しく書いてあります。
参考:https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2502.htm
ということは、外注先に報酬を支払っていて、それが支払調書を発行しなければならない場合であれば、支払先のマイナンバーを記入する必要があるのです。
この場合、支払先が法人であれば、法人番号はホームページで検索でき、マイナンバーの取扱いにも気を遣う必要がなく簡単です。
しかし、支払先が個人の場合が大変なのです。
報酬の支払いの際に、「マイナンバーを支払調書の作成に使用します。」という目的を提示した上で、通知カードと本人確認書類又は個人番号カードを確認する必要があります。そして、そうして集めたマイナンバーは、特定個人情報となり、取扱いについて厳しく定められています。
従業員を雇って給料を支払っている場合
従業員を雇って給料を支払っている場合、毎年行うものが年末調整ですね。
年末調整を行うときに、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」というものを従業員に書いてもらいます。この時に、従業員本人と扶養家族のマイナンバーが必要になってきます。
長年働いている従業員で年末調整のときには間違いなく在籍している場合には、マイナンバーも集めやすいのですが、短期ですぐ従業員が辞めてしまったなど時には、マイナンバーを集めることが困難になってきます。
このことから、従業員を雇ったら働いてもらう日にまず、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」と同時に「マイナンバー」も集めるというようにしていく必要があります。
最後に、マイナンバー取り扱いの概要まとめ
(1)マイナンバーは集めるのは面倒だから、とにかく集めておこうか!と思いつくかもしれませんが、それはできません。たとえば、自社の顧客管理などのために集めることはできず、税や社会保障の手続きとして法律で定められた手続きのためにのみ、集めることができます。
(2)マイナンバーを一回教えてもらったけれど、他に使うかもしれないし・・・と思われるかもしれませんが、マイナンバーは、利用目的を本人に明示する必要があり、それ以外の目的に使うことはできません。
(3)本人確認手続きが大変です。まず、番号が正しい番号であるかどうかの確認をしなければなりません。また、その番号で手続を行っている者が、その番号の正しい持ち主であることも確認しなければなりません。つまり身元確認をする必要があるのです。
(4)マイナンバーを集めた後に、その書類を机の上に置きっぱなし・・・ではだめなのです。取扱責任者などを定めたら、その者以外が取り扱うことのないようにし、保管も鍵付きの棚などに保管しなければなりません。パソコン管理の場合には、ウィルス対策ソフトの導入などが必要となります。
(5)マイナンバー集めたあとに、鍵付きの棚に入れたし、もう大丈夫!ではありません。マイナンバーは必要がある場合にしか保管をすることが認められないため、必要がなくなったら廃棄・削除をしなければならないのです。そのためには、利用した日なども明確にして管理していく必要があるのです。
以上、マイナンバーの情報はまだまだ共有が進んでいないので、フリーランスや法人化を考えている個人事業主は、これを機にマイナンバー制度をしっかり把握していきましょう。