中澤優子(なかざわ ゆうこ)――1984年生まれ
写真出典:http://s-max.jp/tag/中澤優子
ある家電ベンチャー企業が、たった2カ月で17種24製品(!)を作りました。
そして、2015年8月、颯爽と製品発表会に登場し、業界内外を驚かせたのです。
その正体は、弱冠30歳の女性社長・中澤優子さんが起業した“ほぼ1人家電メーカー”株式会社「UPQ(アップキュー)」。
国内最安値のスマホ、市場価格を大幅に下回るオシャレ家電に加え、バッテリー内蔵のスーツケース、デザイン重視の椅子など幅広いラインナップで展開しています。
ネットでは「握手券つきなら買う!」「ハードウェアスタートアップ界に舞い降りた天使」などと、女子力の高い中澤さんにも注目が集まっているとか。
今までに彼女が作ってきたものは、美撮り携帯、行列のできるパンケーキ、震えて光るお弁当・・・と、かなり個性的。そんなキラキラ女子・中澤さんが大切にしているのは、実は、カシオ勤務時代に学んだ「泥臭い」モノづくり精神なのです。
女性社長であり、時に人気カフェのオーナー、話題の商品を次々と生み出す中澤さんの経歴をまとめてみました。
機械音痴の文系女子・・・でも、携帯は大好き
特に夢がなかった中澤さんは、中央大学経済学部で、普通の学生生活を送っていました。
昔からかなりの機械音痴で、テレビやパソコンがおかしくなったら、ドンドン叩いてみるタイプ。 エクセルやパワポも知らない文系女子でしたが、唯一、中学の頃から携帯には興味を持っていました。
携帯ショップでアルバイトを始め、デザインや新機種を覚えるうちに、売れる機種・売れない機種の違いが気になるようになります。そして「私ならもっとこうするのに・・・」という気持ちが芽生え、自分で携帯を作ってみたくなったのです。
就活では、メーカーに狙いをさだめました。でも、文系の新人に携帯作りは無理な話と一蹴され、なかなかうまくいきません。メーカーへの就職をあきらめかけた頃、茶髪の就活モード・オフ状態で受けたカシオ(計算機)が、中澤さんの考えを受け入れてくれ、入社が決まったのです。
中澤さん曰く「就活マニュアル本、なんだったんだ、って感じですよね」
入社2年目、カシオで「美撮り」携帯を開発
2007年カシオ計算機に入社した中澤さんは、営業を経て、翌年にはカシオ日立モバイルコミュニケーションズの企画チームへ異動、念願だった携帯の企画をスタートさせました。
ソフトバンクモバイル向け新製品のターゲットが女性だったため抜擢されたのですが、当時、20代前半の女性が商品企画を担当するのは異例だったとか。所属チームも中澤さん以外はすべて男性スタッフでした。
そこで、中澤さんが開発したのは、携帯カメラで人物を美しく撮影できる自分撮り「美撮り」モードでした。きれい=画素数が高いは、ある意味、男性的な考え方。
人の顔を撮った時、毛穴やうぶ毛など、見られたくない部分まではっきり見えてしまうのは嫌、という女性的視点を大切にした中澤さん。「美撮り」では、透明感のある肌と目元の印象度をアップできるのが売りに。
だからと言って、他社のように明らかに加工、修正、整形要素のある“嘘”、“盛り”レベルまではいかないよう、バランスには気をつかいました。
機能やスペックだけにとらわれず、女性の琴線に触れるものを作りたい、という中澤さんの発想は、その後のモノづくりにも活かされていくことになります。
カシオ退職後、秋葉原にカフェをOPEN
企画の仕事に就けた中澤さんですが、入社した頃から携帯を取り巻く環境はiPhone化やスマホ化が進み、激変期にさしかかっていました。
その後、カシオ日立がNECカシオへと再編され、中澤さんはauやドコモ向けスマホの商品企画に携わりましたが、会社がスマホ市場から撤退することになり、中澤さんも退職を決意しました。
中澤さんにとって、約5年間のカシオでの勤務経験は、仲間とのモノづくりの楽しさを知った貴重なものでした。また、年上の優秀なエンジニアたちからは、昭和の日本的な“泥臭いモノづくり”を学んだと言います。そんな優秀な人材が他メーカーへ移ったり、ハローワークに通わなければいけない状況を目にし、ふと、みんなが安らげる場所を作りたいと考えたのです。
「じゃあ、カフェを作ろう」 昔の仲間たちが仕事道具を買いに来た時に、おいしいものを食べて元気になれるように。
そんな発想から、秋葉原にカフェを作ることにしました。
退職金を使い、さくさくと役所の申請を済ませ、人手を集め、通常開業には3ヵ月かかるようですが、「ん?1ヵ月経たないうちにオープンできるかも」って、とりあえずやってみたらできちゃった、ようです。
2013年にオープンした「CAFÉ by PREGO」は、パンケーキやオーダーメイドのケーキが人気の有名店になり、メディアで取り上げられることもしばしば。
カフェに併設したプランニングスタジオでは、料理教室はもちろんワークショップも開きました。超多忙な中澤さんですが店の商品開発や運営には力を入れていて、現在も店に立つこともあるらしく、会いに行ける(?)CEOになるかも・・・。
中澤さんは、カフェでパンケーキを嬉しそうに撮影するお客さんを見ながら、もっと食の楽しいシーンを増やしたいな、とか、高機能のスマホでも使いこなせない人は多い・・・と人間&スマホ観察(?)を続け、それが後の活動につながっていったようです。
最先端の弁当箱を開発!再び、モノづくり界へ
カフェの開業後、店の近所で開かれるau未来研究所のハッカソン(ソフトウェア関連のイベント)に誘われ、何となく参加した中澤さん。退社後2年の間に新しいモノづくりの流れがきていることを実感し、商品企画に応募してみました。
それがIoT弁当箱「X Ben」でした。ランチタイムのコミュニケーションを盛り上げたい、“ぼっちメシ撲滅”のために、光ったり震えたりする弁当箱を作れば、人と人の交流のきっかけになるのでは、と考えたのです。(もちろん、ぼっちで楽しんでもOK)
おかず交換イベントやスマホアプリとの連動も考え、中澤さんの中にこのイベント期間だけでは終わらせたくないという思いが強くなっていきます。 その後、仲間たちと開発を進め、コンテスト等に応募して経済産業省のフロンティアメイカーズ育成事業に採択されたのです。
「X Ben」は最先端の弁当箱として注目され、米・テキサスでの展示会イベント(SXSW)にも出品されました。
そして、フロンティアメイカーズの「X Ben」を通して知り合ったのが、「UPQ」誕生のきっかけになる、「Cerevo」の岩佐琢磨さんと「DMM.make.」の小笠原治さんでした。
超短期間で、1人家電メーカー立ち上げへ
「X Ben」の後は、またカフェに戻るつもりだった中澤さんですが、ハードウェア・ベンキャー企業「Cerevo」の岩佐さんに「モノづくりに戻らないの?」と声をかけられました。
昔から携帯やスマホにはこだわりがあったことを話すと、一緒に中国の工場に行く流れに。
カシオ出身の中澤さんと、パナソニック出身の岩佐さんがタッグを組み、どうせ動くなら、即!ということで、翌日から中国で交渉が始まりました。それからは「Cerevo」のノウハウに倣い、2015年7月1日には資本金100万円で「UPQ」を起業、企画構想から僅か2カ月後の商品発表へと繋がったのです。
そこで、やはり気になるのが、なぜこんな短期間で新メーカーの商品ができたのか!? あるWebインタビューで中澤さんはこう答えています。
「本来、メーカーに必要だった倉庫・工場を自社で所有せず、企画から開発、製造・販売まで完結できるようにした、ここが大きいと思います。(略)実際、自社で倉庫や工場を持たず、製造は海外の工場に委託し、販売はまずはDMM.make STORE に納めるという方法です。
もし1年前だったらできていなかったこと「今だからできる」というタイミングもあったと思います。何より、同じように製品化・販売まで先駆けて行なっていたCerevoの存在が大きいですね」
つまり、販売は「DMM.make STORE」、作り手としての業務は「Cerevo」に委託してそのノウハウで製品を安く作り、従業員は中澤さん1人で間接費を削減して、本業のブランド作りに集中できる超スピード開発の仕組みだったのです。
「UPQ」の強みは“早い、安い、トレンディー”
商品の発表会後、注文が殺到し、わずか2週間で当初予定していた販売計画3~4カ月分の約7割にあたる予約を受け付けたという「UPQ」。予想以上の反響でした。
「UPQ」の商品を目にすると、全商品の刺し色になっているブルーとグリーンの中間色が目を引きます。ブルー・バイ・グリーンというこのアクセントカラーを中澤さんが選んだのは「2015年夏の流行色だから」。
今、流行っているからこれにしよう、と取り入れるのが、「UPQ」らしさで、そのくらい短いスパンで製品を作っているという表明にもなっているのだとか。今後もシーズンごとに、テーマカラーを反映させる予定のようです。
中澤さんが、カシオ時代から一番気になっていたのが「型落ち問題」でした。
「モノができあがるまでにはいろんな人の努力、思い、時間、お金がかかっていますが、スペックで語られ、型落ちを選ばれてしまう。そこにジレンマを感じていました。」
そのジレンマを解消し、“早い、安い、トレンディー”を実現させたのが、中澤さんの「UPQ」だったのです。
まとめ
元々、中澤さんは無理な状況を短期間で変えていくのが好きな体質・・・「UPQ」の立ち上げ期は国内外を飛びまわり、眠気がピークになり床に転がるまで仕事を続ける日々が続きました。
世間でスピード開業や起業などと騒がれる裏側には、「仕事に命、懸けてます」と宣言し、人一倍情熱を燃やす中澤さんの姿勢が見えてきます。 スマホや家電など、「UPQ」の製品は無くても生きていけるものばかり、と話す中澤さん。
「だからこそ、手に取ってもらえるよう、愛着や仕掛けを詰めこみたい」 商品発表会で配られたという、彼女のブルー・バイ・グリーンの名刺は、今後、何色に変わっていくのか? 家電・家具メーカー市場の活性化に繋がるであろう、中澤さんの動きが今後も楽しみです。
UPQ製品紹介
最後に、いくつかUPQの製品をチェックしておきましょう。
中澤優子社長がホリエモンチャンネルにゲスト出演した際に取り上げられたのがこちら。
まずは、目玉となっているSIMフリースマートフォン。
カメラも人気です。
そして透明のキーボードです。オシャレですね〜。
ちなみに、UPQには「シーズンカラー」というものが存在し、シーズンごとに出す製品を全て同じ色で統一するのが戦略なのだそうです。なので現在のカラーは「UPQのカラー」ではなく、あくまで「今シーズンのカラー」です。
次シーズンのカラーは極秘だそうで、今度はどんなカラーの製品が店頭に並ぶのか、楽しみですね。
【おまけ診断テスト】自分の「才能」に気づいていますか?
仕事ができるビジネスマンと出来ないビジネスマンの差は、意外と「自分の才能・資質を知っているかどうか」だけの差だったりします。
仕事ができる人ほど「自分が得意なこと」を仕事にし、仕事ができない人ほど「自分が好きなこと」を仕事にしようとします。
仕事が非常にできる2割の人間は、自分が得意なことを仕事にしている人。
仕事を普通にこなす6割の人間は、自分が得意なことを仕事にしていない人。
仕事ができない2割の人間は、自分が苦手なことを仕事にしている人。
「好きなこと」と「得意なこと」は違います。残酷なほど違います。一流と三流を分ける海より深い隔たりがあります。
世界最高のサッカー選手であるリオネル・メッシは、FW(フォワード)というゴール前20m四方のエリア内でのみ世界最高の選手でいられます。彼は誰よりもディフェンスをしません。なぜか? その仕事場以外では平凡な選手だからです。
つまり「仕事ができる人間」とは、「得意な場所で、得意な仕事をしている人」なのです。
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