“起こったこと全てに意味がある”ーーそれはπ(円周率)に似ている。

円

今回紹介する話は、少し哲学的である。

自己啓発というほどのものではないけれど、言葉の力という実益のないものに影響を受けないタイプの人はページをそっと閉じてしまってかまわない。

 

今回のテーマは、「世界の全てのものには意味がある。そしてそれはπ(パイ)ーーつまり円周率に似ている」という話だ。

人は誰でも、「もし、あの時に戻れたら……」と悔やまずにはいられない過去の1つや2つはあると思う。あるいは、過去の過ちから罪悪感に苛まれて、現在の自分を否定するような生き方をしている人もいるかもしれない。

しかし、起こったことには全て意味があるし、今のあなたは現在を構成する重要なピースの1つなのだ、と教えてくれるような哲学的で抽象的な話。

ちなみに、この話の元ネタは、私の大好きな海外ドラマのエピソードに出てくる話なのだが、とても印象的かつ何やら人生の教訓にも聞いてとれるので記事にしようと思った次第だ(ネタがなかったのだ)。

別に感動するだとか、前向きになれるとか、そんなたいそうな話ではないけれど、よくある「名言集」程度の、誰かしら心の保養にでもなれば良いと思って紹介する。

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π(パイ)は全てを含んでいる

ある高校の数学の授業中の話。

黒板で円周率(π)を教える数学教師に対して、1人の女子生徒がこう言った。

「先生、そんなものを知って、何の良いことがあるんですか? 何か役に立つんですか?」

 

授業なんてまるで聞こうとしない生徒達に向けて、数学教師はπの意味を語り始めた。

 

「πとは、ギリシャ文字で円周率というものを表していて、3.1415926535…という数字には終わりがない。

しかも、同じパターンは二度とない。つまりこの小数点以下の配列の中に、すべての数字の配列が含まれる。君たちの誕生日、ロッカーの鍵の番号、社会保障番号も、すべてこの中に存在する。

もしもこの小数点以下を文字に置き換えたとしたら、おそらく今までに存在したすべての単語が、あらゆる組み合わせとなって潜んでいる。

君たちが生まれて初めて発した言葉、最近片思いしてる人の名前、人生の始まりから終わりまで、我々人間が言うこと、すること、この世界の無限にある可能性が、この円ひとつに含まれてるんだ。

その情報を何に使うか、どう役立てるかは君たち次第だよ。

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世界には、余分になってしまうピースなどない

この話は、私の好きな海外テレビドラマ『パーソン・オブ・インタレスト』に出てくるエピソードである。(シーズン2第11話「完全なる方程式」より)

ドラマも非常に面白いので時間がある人にはぜひオススメだが、作品自体はここでは関係ないので置いておく。

 

上記のセリフの通り、π(円周率)という割り切れない、それでいて同じパターンが2度となく、無限に続く数字の羅列の中には、あらゆる数字の配列が含まれている。それを文字に変換すれば、この世のあらゆる言語のあらゆる単語が含まれることになる。

そうして考えると、過去、現在、未来に至るまで、この世界の全ての事象は、1つの円の中に含まれているという、何とも神秘的な話である。

この時点では「へぇ〜」という程度のπの話だが、まだ続きがある。

実はこのπの例え話が、ドラマのストーリーのクライマックスで活きてくるのだ。

なのでざっくりとだがストーリーも含めて紹介する。

 

数学教師と、自殺未遂をした男子生徒の話

ごくごくかいつまんでドラマの流れだけを説明すると、

過去に自らの過ちで兄を死なせてしまったことを悔いてきた弟・ケイレブ(男子高校生)が、「自分は世界には必要のない人間だ」と罪悪感に苦しんだ末に、電車に飛び込んで死のうとするーー。

そこを止めに入った数学教師・フィンチが、自己否定から自殺しようとした教え子の肩に手を置き、こう諭すのだ。

ケイレブ:(自殺を止められ)「正しく生きて前進しろってことですか? 素晴らしいアドバイスですね感動しました(皮肉)」

フィンチ:「そうではない。過ちは我々の一部で、それを置いて前進することはできない」

(中略)

ケイレブ: 「じゃあその人間はどう役に立つんですか、何度も何度もぶち壊して人を悲しませるだけだ」

フィンチ:「 世界には余分になってしまうピースなんてないんだよ。それはπに似ている。すべてを含んでいる。どれか一つ欠けても円にはならない。

君の無謀さや君の過ちが、たとえ”世界を変えられない”と言われても立ち向かえる力になるんだ。この世界も私たちがいないより、いる方がマシなんだよ。

(中略)自分が消えることが周囲のためだと私も考えた。しかしそれは間違いだ」

所どころセリフを省いているが、大筋でこのようなやりとりが展開される。

一部分だけを切り取った文字では分かりづらいが、ドラマのクライマックスでのこの会話は、思わず目頭を抑えずにはいられないほど感慨深いものだった。物語の序盤で出てきた印象的なπの話が、まさかクライマックスの一番重要なシーンで繋がってくるというストーリー展開は鳥肌ものなのだ。

これが仮に日本のドラマだと、「過去があるから今の君があるんだ!この世に必要のない人間なんていないんだ!みんな1人ひとりがオンリーワ(ry」などと小学生でも言えるような興ざめなセリフになるのだろうが、伝えたいメッセージは同じであってもそれを円周率で表現する海外ドラマの脚本力は素晴らしい。

 

全てのことに意味がある

自分なんかこの世界にはいらないと思い込んでいたケイレブ。そしてフィンチも、もう取り戻せない大きな過ちを過去に残していた。

これはあくまでドラマの話だが、大小問わず過去に後悔のない人間なんていないだろう。これまでの人生を振り返り、選択を間違えたんじゃないか……と思っている人は多いはずだ。

「いくら後悔したところで、過去や現在が変わるわけではない」などと慰めの言葉でよく使われるが、理屈や合理だけで生きてはいけないのが人間である。

人間は愚かな欠陥品よ。でもそれは仕方のないこと。

なぜなら、人間は設計のされていない、偶発的な産物だから。

(パーソン・オブ・インタレストより)

それならば、あらゆる後悔も失敗も、「もう終わってしまってどうしようもないこと」と切り捨てるのではなく、πが表すように起こった事すべてに意味があると信じた方が精神的にポジティブになれるのではないか。

過去・現在・未来、それぞれの地点での点と点は、後から振り返ってみて初めて繋がっていたのだと気づくと説いたのは、かのスティーブ・ジョブズである。

ジョブズがスピーチで言ったことも、今回の円周率の話も、本質は同じ。全ての出来事には意味がある。たとえその時点で無駄に思えたものでも、本当に無駄なものなどないということ。

そして、それら全てが一端を担って1つの円を形成している。その1つひとつがどれだけ未熟で小さいものだとしても、どれか1つが欠けてしまっただけで円は完成しないのだ。

 

……と、こうして書いてみると、哲学チックで抽象的極まりない話なので我ながらやや恥ずかしさすら覚えてくるのだが、こういう類いの話が好きな人も一定数いるだろう。

もし印象的に感じ取ってくれた人がいたなら、少しでも心の保養になれば良いと思う。

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